はじめに

先日、札幌に行った際、ラーメン山岡家に行列ができているのを見ました。この連載でも、過去2回、ラーメン企業については紹介していますが、さすがに最近はあまり話題にならず、投資テーマとしても色褪せてきたかと思っていた矢先に見た光景に「もしかしてまだイケる?」と感じました。


売上、利益、客数は絶好調の「山岡家」

久しぶりに過去とりあげたラーメン御三家の株価チャートを見ると、やはりラーメン山岡家を運営する丸千代山岡家(3399)の騰落率が、ほか2社を圧倒しています。

直近発表された2025年1月期決算は、売上高345億円(前年比+30.5%)、営業利益37億円(+79.7%)と売上利益とも過去最高を更新。既存店の月次売上推移は、対前期比で、2月119.4%、3月124.1%、4月126.9%と引き続き絶好調です。客数もしっかり伸びており、値上げ効果に頼った売上増でないことがわかります。

また、飲食業界の平均営業利益率が5~6%に対して、原材料高が続く状況においても10%台を維持しているのは驚異的ともいえます。かつてラーメン御三家として取り上げたギフトホールディングス(9279)、力の源ホールディングス(3561)と比べて、いちばん地味で投資家からの評価(PER)が低かった当社が、今では、ラーメン王として君臨した強さの根源はいったいなんなのでしょう?

ラーメン山岡家がほかラーメン屋と明確に違う点

1. 24時間営業

ラーメン屋に限らず、コンビニでさえ24時間営業でない店舗が増えている中、ラーメン山岡家は、ほとんどが24時間営業を貫いています。そもそもラーメン山岡家のど真ん中ターゲットは、中距離トラックドライバーです。わたしが行列をみかけた札幌市の商店街にある店舗は少数派で、原則として「郊外」「主要道路沿い」「大型駐車場完備」が出店条件です。

深夜の国道を走るトラック運転手にとって、真っ赤な店舗に浮かび上がる「ラーメン山岡家」の白文字は、強烈な磁石のように引き寄せられるのではないでしょうか? 中には、シャワー室を完備している店舗もあり、それはもうオアシスです。

2. 全店直営

規模を拡大するのにもっとも効率的と考えられるフランチャイズ展開を行っておらず、全店直営主義を貫いています。スープ、チャーシューなど麺以外はすべてそれぞれの店舗で作るというのも驚きで、今どきのセントラルキッチン方式はとっていません。ラーメンの核となるスープを各店舗で作るとなると、味にバラツキが出るのではないかと疑いたくなりますが、創業者の山岡正会長が、全店を車で巡回し、伝統の味がぶれていないかチェックするそうです。

ちなみに、当社の豚骨スープの材料は、水と豚骨だけ。丸3日間煮込み続けて4日目のスープをお客様に提供します。そのため厨房には、初日、2日目、3日目、4日目と4つの寸胴が並んでいます。ぜひ、ラーメン山岡家を訪れた人は、厨房をのぞいて確認してみてください。

3. インフルエンサーによる自主的な宣伝

YouTubeやインスタグラムで、ラーメン山岡家を紹介するインフルエンサーがたくさんいます。YouTubeで検索すると、100万回以上再生されている動画もゴロゴロ。ところが、これらのインフルエンサーさんは、すべて自主的な配信で、当社からの依頼ではありません。つまり広告宣伝費はゼロ。結果、販管費が抑えられるため、ほか飲食店に比べて利益率を高く維持できています。

比較的、参入障壁が低いといわれるラーメン業界で、上記3つはなかなか真似できない強みです。

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