はじめに
習慣1:戦略を言語化し、不安の正体を明らかにする
相場が荒れたときに生じる動揺や不安。これは、自分の立ち位置や自分が何をしているのか、わからない状態から生まれます。解消するためにやっていただきたいのが投資戦略のジャーナリング、つまり、投資戦略の言語化・見える化です。
まず1冊のノートやメモアプリに、自分の戦略をメモしてみましょう。できる限り細かく書くことが重要です。ご自身の売買ルール、投資スタイル(例:グロース株中心、中長期保有)や、想定する平均年利(例:年間6%を目標)、1回の取引で最大許容できる損失(例:ポートフォリオの5%まで)は、最低限書いていただきたい項目です。
すぐに書けなかったとしても、書き出そうとすることで、自分の中であいまいな部分や不確かな点に気づくはずです。戦略は、作って終わりではありません。相場の変化に合わせて、「検証」「修正」「再定義」を繰り返すプロセスもまた、戦略の一部となります。ジャーナリングはそれを支えるツールになります。
習慣2:情報をダイエット! リサーチを「テンプレート化」
ニュース、SNS、分析レポートなど情報の波に飲まれていませんか? どの情報を拾い、どう処理するかあらかじめ定めておくことで、情報過多を軽減できます。
ファンダメンタルズ分析は重要ですが、情報過多の時代、すべての材料を追いかけるのは非効率で、疲弊の原因にもなります。特に、金利、為替、選挙、地政学リスク……と材料が多い2025年のような年は、「情報ダイエット」が必要です。
そこで役立つのが、リサーチをテンプレート化するアプローチです。
毎日このレポートと日足チャートだけはチェックする、個別株は日経平均株価と毎日の個別株の終値、決算日と決算説明資料だけはチェックしておく――など自分なりのリサーチテンプレートを持っていることは、「再現性のある知識構築」の第一歩です。例えば、私はブログで毎日、アメリカ市場と日本市場について簡単に解説しています。これを、自身の投資行動ルーティンのひとつに活用してくださっている方もいます。
このリサーチ過程もジャーナリングに記録しておくと、後から「なぜその銘柄を選んだのか」を振り返るときに役立ちます。過去の仮説と現実のズレを見直すことで、分析精度も高まっていきます。
習慣3:感情で判断しない! リスク管理ルールでメンタルを守る
リスク管理が曖昧なまま投資をすれば、相場の動きに心を振り回されやすくなります。例えば、含み損が拡大したとき、どうするか決まっていないと動揺してしまうでしょう。そうなるといずれ自分が壊れるか、資産が壊れるかというバッドエンディングを迎える可能性が……。投資家の中には、ご自身の資産全体のリスクをきちんと管理せず、自分が思っている以上に危険な投資をしている人もいらっしゃいます。
2025年のような高ボラティリティ相場においては、ルールベースでリスク管理することが、投資家のメンタルを守る“最前線”となります。
例えば、リスク管理ルールとしては次のような内容が挙げられます。
・ATR(「Average True Range」の略。マーケットや銘柄の平均的な変動率の判断が可能)で値動きの値幅をチェックする
・最大ドローダウン(下落耐性)を例えば20%以内に設定する
・1銘柄あたりの投入資金をポートフォリオの5%以内にする
・エントリー時点で、必ずストップロスと利益確定ラインを注文する(できれば、損失と利益のバランスを示す指標である、リスクリワード比率も意識できると良い)
投資資金や経験値、投資の目的や戦略によってご自身でルールを決めていただければと思います。
また、こうしたルールは、必ず記録としてジャーナリングに残すことが重要です。「今回は例外で……」という逃げを許さない仕組みによって、意思決定の一貫性が生まれます。