はじめに
2025年も早いもので半年が経過しました。日経平均は2024年末比593円高、TOPIXは73P高でした。今回は、TOPIX500採用銘柄から、2025年上半期で値上がり、値下がりが目立った企業を紹介します。
上昇が目立った業種は?
特に上昇が目立った3つをご紹介します。まずひとつに、防衛関連の三菱重工(7011)や川重(7012)、IHI(7012)です。三菱重工とIHIは上場来高値を更新する場面がありました。これは、世界的な地政学リスクの高まりと、それに伴う各国の防衛費増額の動きが要因といえます。最近では、北大西洋条約機構(NATO)加盟国が、オランダ・ハーグで開いた首脳会議で、防衛費支出を国内総生産(GDP)比5%に引き上げる新たな目標で合意したとの報道もありました。また、米国が日本に対して防衛費をGDPの3.5%まで引き上げるよう求めたとの報道もありました。なお、現在はGDP比2%を目標に予算編成が行われています。
次に、コナミグループ(9766)や任天堂(7974)、スクウェア・エニックス・ホールディングス(9684)などのゲーム関連株が買われました。要因の1つとして、政府によるゲーム産業の支援が活発に行われていることが挙げられます。日本のコンテンツ産業が輸出産業として大きな武器になるためです。2024年に開催された「コンテンツ産業官民協議会」の中で、政府が2033年までに日本発コンテンツの海外市場規模を22年の4兆7000億円から20兆円に押し上げる目標を掲げました。ゲームだけでなく、アニメや音楽などの世界市場への発信を強化する方針です。
3つ目に、大成建設(1801)や鹿島建設(1812)、清水建設(1803)などの建設株も上昇しました。建築資材の価格は高止まりしていますが、価格転嫁の浸透による採算の改善や政策保有株売却によって得た資金を自社株買いや増配など株主還元に積極的に活用したことが評価されました。また、政府は6月に国土強靱化の中期計画を閣議決定しました。地震などの災害に備えて老朽化した公共インフラを更新するために、事業規模を20兆円強とし、2026年度から5年間の達成目標を分野ごとに設定します。
良品計画、フジ、その他上昇した銘柄
個別銘柄では、FOOD & LIFE COMPANIES(3563)が、半年で上昇率トップとなりました。2025年9月期第2四半期累計(24年10月-25年3月)の連結最終利益は前年同期比63.1%増の118億円に拡大し、通期見通しも上方修正しました。また、株主優待としてもらえる優待食事割引券が会計金額に関わらず1円単位で利用が可能になったことや、スマートフォン等の電子端末無しでも株主優待の利用を可能にしたこと、そして増配が評価されました。
良品計画(7453)は上昇率2位となりました。同社は、無印良品やMUJIブランドの小売店舗・商品開発と製造・販売を展開する専門小売企業です。6月に公表した5月度の国内売上高で、直営既存店とオンラインストアを合わせた売上高は前年同月比12.2%増となり、16カ月連続で前年実績を上回りました。生活雑貨及び食品が好調に推移しています。苦戦していた海外事業も復調の兆しがあり、中国大陸の既存店売上高は2024年9月以降回復基調にあります。
フジ・メディア・ホールディングス(4676)の上昇も目立ちました。2024年12月のタレントの中居正広氏と女性とのトラブルを巡り、フジテレビでのCMを差し止める動きが相次いだことで株価は大幅に下落する場面も見られました。しかし、同社はサンケイビルを中核とする不動産事業を展開しており、グループ全体の利益に大きく貢献し、2024年3月期の決算では、営業利益の半分以上を不動産事業で稼ぎ出している点を、アクティビストなどが着目したことで、同社の評価が高まりました。