はじめに
値段だけで決めない、値段の先の価値を見極めたモノの選び方
お金の学びで大事なことのひとつに、数字だけに囚われないということがあります。「安いからいい」「高いからダメ」という単純な判断だけでは、子どもが育むべき“お金のセンス”としては少し物足りないと思うのです。
お金を使うとは、「この金額を出す価値があるかな?」と考えること。つまり、“自分にとっての価値”を感じ取るセンスがとても大事なのです。この感覚を育てるには、買い物中のちょっとした会話がカギとなります。
たとえば…
・「なんでこれが欲しいと思ったの?」
・「他の選択肢もあるけど、どう違うと思う?」
・「買ってみてどうだった?満足した?思ったより微妙だった?」
そんなふうに問いかけるだけで、子どもの中で「選ぶ理由」がだんだん言葉になっていきます。
たとえば、
・「キャラクターのお菓子はちょっと高いけど、友達と一緒に食べたいから買いたい!」
・「大袋の方がお得だけど、食べきれなかったらもったいないな。だったら食べきれる分で満足する方がいいかも」
こんなやりとりが生まれたら、それだけで立派な“価値を考える練習”になっています。
この練習では、自分の選択に責任を持ち、納得して使うという“自己決定力”を育ててくれます。大切なことは、親が「否定せずに聞く」姿勢を持つことです。子どもの選択が「高いけど欲しいキャラクターグッズ」「量は少ないけどパッケージが可愛いジュース」だったとしても、それに込めた理由を丁寧に聞いてみてください。
私が実際に相談を受けるご家庭でも、「なんとなく買っている」を卒業して、自分なりの基準で選べる子は、おこづかい帳にも買った理由や、失敗から自分で作ったルールが書かれていたり、お金との関係に個性が出ていたりします。
こうした“価値で判断する力”は、将来、限られたお金や時間の中でよりよい選択をするための土台になります。お金は、『“数字の学び”だけではなく、“気持ちや考え方を育てる道具”にもなる』。そんなふうに思える機会を、日々の買い物の中から、少しずつ増やしていけたら素敵ですね。
物価を感じることは“暮らしを考える力”になる
お金や物価や価値の話となると、つい“教えよう”としてしまいがちです。でも、実は日常のちょっとしたやりとりの中で気づきを与えるほうが、ずっと自然で効果的なんです。
「なんで値段が変わるの?」
「同じお金でも、どれが自分にとって価値があるんだろう?」
そんなふうに“考えるクセ”を小さいうちから日常で持てたら、きっと将来、お金との付き合い方に自信が持てるはず。お金は「使い道」次第で、満足にも後悔にも変わります。でも、日常の中でしっかりと“選ぶ目”を養えば、その力は自然と育っていきます。
夏休みは、親子で過ごす時間がたっぷりあるからこそ、お金について話し、一緒に感じてみる絶好のタイミング。この夏、「物価ってなんだろう?」をきっかけに、家族で“お金の価値”について楽しく語り合う時間を、つくってみてくださいね。
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