はじめに
よりよく変わる制度の変更点をチェック
2024年12月に施行された企業型DC・iDeCoの制度改正における、主な3つの変更点について解説します。
1. 企業型DCの掛金上限の見直し
企業型DCと他の企業年金制度(DBなど)の併用時にも、合計で月額5.5万円まで拠出可能となりました(従来は企業型DC単独で上限5.5万円、他制度併用時は2.75万円が上限)。
※経過措置として従来の上限である2.75万円のままとすることも可能です。
2. iDeCoの掛金上限引き上げ
確定給付型(DB)などの企業年金制度と併用している場合のiDeCoの掛金上限額が、1.2万円から2万円に引き上げられました(ただし企業年金制度との合算で上限5.5万円まで)。
3. iDeCo加入時手続きの簡略化
勤務先からもらう必要があった「事業主証明書」が不要となり、企業情報を本人が申告するだけで手続きが可能になりました。勤務先との書類のやりとりが不要となり、より加入しやすくなりました。
これらはすでに実施されていますが、2024年12月に閣議決定された「2025年度の税制改正大綱」には、さらなる制度改正が盛り込まれています。
制度の選択は「制度理解」と「柔軟な活用」がカギ
2025年6月13日に年金制度改正法が成立しました。変更点は以下のとおりです。企業型DC、iDeCoの掛金の上限額は現段階での金額のため変更になる可能性があります。
1.企業型DCの掛金上限額の引き上げ
企業型DC:現行月額5.5万円から月額6.2万円に引き上げ
2.iDeCoの掛金上限額の引き上げ
第1号被保険者(自営業者など):現行月額6.8万円から7.5万円に引き上げ(iDeCoと国民年金基金合算で)
第2号被保険者(会社員・公務員):現行月額2.0万円または2.3万円から月額6.2万円に引き上げ
※第3号被保険者(専業主婦(夫)など)の掛金上限額は変更ありません
3.iDeCoに70歳まで拠出が可能に
iDeCoに積立金がある(あるいは企業型DC等からiDeCoに移す資産がある)60~70歳までの人で、老齢基礎年金やiDeCoを受給していなければ、国民年金および厚生年金の被保険者でなくてもiDeCoに引き続き拠出できるようになります。
4.マッチング拠出の上限規制撤廃
「加入者掛金の額が事業主掛金の額を超えることができない」要件が廃止されます。
これらが実現すれば、マッチング拠出の活用の幅が広がりそうです。今後もより使いやすくなるよう、制度改正が行われていく可能性があります。最新情報をチェックして、退職後の資産形成のために柔軟に活用していきましょう。
老後資金の準備には「制度を知り、自分に合ったものを選び、続けること」が何より大切です。マッチング拠出とiDeCoはどちらも優れた制度ですが、「どちらが有利か」は勤務先の制度やご自身のライフプラン、投資スタイルによって、最適な選択は変わります。
まずは勤務先の企業型DCの詳細(マッチング拠出の有無、掛金額、商品ラインナップなど)を確認し、手数料や拠出額、運用の自由度などから比較検討してみましょう。
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