はじめに
近年は「夏だから買われる」傾向は鈍化
検証した銘柄は、エアコンメーカーのダイキン工業やビールのアサヒグループ、ソフトドリンクの伊藤園、冷感商品を手掛けるトイレタリーや化粧品メーカー、殺虫剤、旅行関連、インドア関連など代表的なサマーストックです。本来は、同じセクターのライバル会社もすべて算入すべきですが、銘柄数が膨大になるほか、ライバル会社は基本的に値動きが似通っているため、今回は各セクターの代表的な1銘柄のみをピックアップしています。
さて、結果はどうなったか。全15銘柄が、同期間のTOPIXのパフォーマンスを上回る「サマーストック」の名に恥じない数字になりました。ただ、先ほどお伝えした15銘柄とTOPIXのパフォーマンスを比較した「勝敗」に関しては、2015年が14勝1敗、2016年が13勝2敗、2017年が15勝と、10年間の前半は高い勝率を誇っていたものの、2019年は7勝8敗と勝率が急降下。2021年は8勝7敗、2023年は5勝10敗と、勝率がかなり下がった印象です。また、いわゆる「猛暑」となった2016年、2020年、2022年、2023年、2024年について、「猛暑だから勝率が上がる」こともありませんでした。
さらに、「1年の間、5~9月に年初来高値を付けているか」も調べてみたところ、顕著な傾向は見当たらず。たとえば、江崎グリコ。2015年から3年間は、確かに夏場に株価が上昇する傾向がありましたが、2018年以降は反対に株価が下落する年も見受けられました。ビール首位のアサヒグループホールディングスや、殺虫剤のフマキラーも同様です。
一方で、エアコントップのダイキン工業の株価は、2021年、2022年、2023年と3年連続で夏場にその年の高値を記録。サントリーホールディングスの中核であるサントリー食品インターナショナルの株価も、夏場に高値を付ける傾向が顕著でした。
今回の調査の結果、以下の傾向が浮かび上がりました。
・2019年以降、「サマーストック」のパフォーマンスはまちまち。
・TOPIXのパフォーマンスと比較すると値固い銘柄が多いものの、近年はその傾向がやや鈍化
・過去10年間のうち「どの年も夏場が強い」銘柄はナシ
・「猛暑」と猛暑ではない年を比べても、大きなパフォーマンスの差は見当たらない
ざっくりまとめると、「サマーストックだから買われる」というより、その銘柄の業績や相場の状態に大きく左右されるということ。今後は、「サマーストック」を材料に買うのではなく、きちんと個別の業績をチェックしていくべきでしょう。
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