はじめに
FPが提案する役職定年対策
役職定年による給与減は避けられない現実かもしれませんが、適切な準備と戦略によってその影響を最小限に抑え、むしろ新たなキャリアの可能性を拓くチャンスと捉えることができます。ここからは、「今から」行動に移せる具体的な対策を3点提案します。
1. 勤務先の給与・雇用制度の確認
役職定年間際に収入減になることを知り、対策をとる方法が限られてしまった…とならないために、早めに自身の会社の給与や雇用制度のキャッチアップをしましょう。役職定年での収入減の割合や再雇用制度の実態など、会社の諸先輩方からの口コミ情報も役立ちます。
また、前段でも触れましたが、企業側も制度を変更する場合もありますから、常に情報のアンテナを高くしておくことも重要です。
2. セカンドキャリアへの棚卸しと再構築
役職定年の最大のインパクトは、本業収入の減少です。このリスクをより小さくするためには、キャリアチェンジや再雇用、また本業に依存しない「複数の収入源」を築く布石を50代前後から打ち始めることが極めて重要です。
これまでの職務経験で培ってきたスキル、知識、実績を具体的に言語化し、役職定年後の強力な武器を整理してみましょう。そのうえで、既存のスキルを活かして新しいスキルを習得する「リスキリング」、過去の成功体験や古い知識、習慣を意図的に手放し、新たな知識やスキルを吸収する「アンラーニング」でセカンドキャリアの土壌づくりをしましょう。
3. ライフプランの作成と不労所得の構築
人生の大きな変化を迎えるにあたり、自身のライフプランを再構築し、家族と共有することは極めて重要です。
「キャッシュフロー表」などのライフプランの作成と見直しにより、現状の収入と支出に加え、役職定年後の収入減や退職金、年金受給額などを織り込んだ表を作成。将来の資金状況を「見える化」します。これにより、いつ、いくら資金が不足する可能性があるのかを具体的に把握し、対策を立てる準備ができます。
また、早いうちからNISAやiDeCoといった金融制度を活用し、長期的な視点で資産運用に取り組みます。50歳からでも65歳の定年までは15年あります。老後の資金対策を始めるには遅くはありません。教育費や住宅ローンの出費の見通しがたったご家庭は、最後の貯め時でもあります。
ただし、リスクを十分に理解し、自身の許容度に合わせたポートフォリオを組むことが不可欠です。信頼のおける専門家のアドバイスも積極的に活用しましょう。そして、必要に応じ、固定費の削減、住居のダウンサイジング、車の買い替え、維持費の見直しなども検討しましょう。
新しいステージ! 可能性を切り開くチャンスにする
役職定年による収入減は、突然降って湧いた災難ではありません。多くの場合、事前に予期できる変化です。だからこそ、早めの準備が功を奏します。
経済的な準備はもちろんのこと、精神的な側面からも、長年慣れ親しんだ環境や肩書きの変化を受け入れる準備、社会との新たな繋がりをどう築くかなど、様々な視点で自身を見つめ直す機会となります。
役職から離れたことで、かえって自由に、本当にやりたかった仕事に挑戦できるチャンスとなる場合もあり、新たな可能性を切り拓く絶好の機会でもあります。現役並み、またそれ以上の収入が増える可能性も秘めています。
そのためにも、自身のセカンドライフを深く考え、計画的に準備と対策を講じ、具体的な行動に移すことで、この先の変化を乗り越え、楽しむことができるでしょう。より充実した第二の人生を送る準備を今からしていきましょう。
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