はじめに

iDeCoをやられている多くの人は、「節税にもなるし、老後のためになるって聞いたから、始めてみた」、そんな気持ちでスタートされたと思います。

ところが、いざ毎月の積立が始まると、「ちょっと今月きびしいな…」「子どもの習い事も増えてきたし、正直やめたいかも」なんて思うことはありませんか? 最近は物価高も続いていて、以前よりも生活コストが上がっている家庭も多いと思います。

そんなときにふとよぎるのが、「iDeCoって、途中でやめられるのかな?」ということでしょう。結論からいうと、iDeCoは原則として、途中で解約できない仕組みになっています。逆をいえば、「やめたくてもやめられない」ことが、制度の大きな特徴なのです。

だからといって、ずっと無理して続けなければならないわけではありません。iDeCoには、やめる以外の方法があります。この記事では、iDeCoはなぜやめることができないのか、例外的なルールについて、今すぐできる現実的な対処法の3つについてFPが解説します。


iDeCoは原則「途中解約ができない」制度

まず大前提として知っておいていただきたいことがあります。それは、iDeCoは原則として60歳になるまで資産を引き出せない制度だということです。

iDeCoは、公的年金に上乗せする「自分年金」をつくるための制度です。加入者は毎月掛金を拠出し、資産運用をして、60歳以降に年金または一時金として受け取ることができます。

そのため、銀行預金や投資信託のように、途中で自由に引き出すことはできません。この仕組みだけを聞くと、不便に感じるかもしれません。しかし、これはむしろ「将来のためのお金を、途中で使ってしまわないよう守ってくれる仕組み」でもあります。将来のために残しておきたいお金だからこそ、途中で手を出せない設計。それがiDeCoの最も重要な意義なのです。

例外的に資産を受け取れるケースも

とはいえ、人生にはさまざまな事情がつきものです。iDeCoにも、例外的に資産を途中で受け取れるパターンが用意されています。

1. 加入者が死亡した場合
万が一、加入者が亡くなった場合、遺族は「死亡一時金」として積み立てた資産を受け取ることができます。

2. 高度障害状態になった場合
加入者が所定の高度障害状態になった場合には、「障害給付金」として資産の引き出しが可能になります。これは、病気や事故など、予期せぬトラブルへのセーフティネットとして用意されています。

3. 「脱退一時金」の条件をすべて満たす場合
これは非常に限定的なケースですが、以下のようなすべての条件を満たせば「脱退一時金」として資産を受け取ることができます。

・60歳未満であること
・企業型DCの加入者でないこと
・国民年金の免除や猶予の適用を受けているなどiDeCoに加入できない状態であること
・日本国籍を有する海外居住者でないこと
・障害給付金の受給権者ではないこと
・拠出期間が5年以下、または資産残高が25万円以下であること
・資格喪失から2年以内に申請していること

このように、いくつもの条件をすべて満たさなければなりません。そのため、「生活が厳しいから」「急にお金が必要になったから」といった理由では、原則として解約できないのが現状です。

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