はじめに

「家がしんどい・・・」そんな風に感じたことはありませんか? リタイアや子どもの自立を機に、住み替えを迷う方は少なくないようです。特に、年齢とともに健康状態や経済状態、人間関係が変化する中で、「住まい」は生活の満足度に直結する存在です。

とはいえ、住み替えは大きな決断です。つい「この際だから」と決断しがちですが、ベネフィットもあれば注意点もあり、必ずしも住み替えがベストな選択とは限らないようです。


住まいの決断は資金計画に直結する

働いていた頃と違い、リタイア後は不足する生活費を資産から取り崩しながら暮らす下山のフェーズです。このタイミングでお金の使い方を大きく誤ってしまうと、バランスが崩れてしまい、人生の晩年の見通しが急速に悪化してしまうリスクもあります。住み替え先の選択肢は様々ですが、以下の様な特有のコストがあります。

購入する場合:仲介手数料、登記費用、固定資産税・都市計画税、維持修繕費用
賃貸の場合:礼金・敷金、仲介手数料、家賃
高齢者施設の場合:入居時一時金、月額利用料

住まいを変えると、家計の流れが変わり、ライフスタイルにも変化が生じます。そもそも住み替えが最良の選択となるのか、長い時間軸で暮らしと紐付けたうえで、丁寧に見ていくことが大切です。

住み続ける?住み替える?判断の比較ポイント

以下は、現在持ち家に住んでいることを想定して、「住み続ける場合」と「住み替える場合」の主な比較ポイントをまとめたものです。どちらにもメリット、デメリットがあります。

判断に迷ったら、紙に書き出す

FPとして、重要なことは、メリットとデメリットをふまえ、人生の晩年にもご自身の望む暮らしを守れることだと考えます。判断に迷ったら、下記のような視点から自分の生活を見直してみましょう。紙に書き出すことで、頭の中が整理され、判断軸が明確になることもあります。住み替えが最良の選択肢ではない、といったことに気づくかもしれません。

  • 人生の晩年に必ず確保したい資金額
  • 最低限確保したい生活費
  • 生活費として取り崩しできる資金額
  • 許容できる生活の変化
  • 支援が必要になったとき、希望する環境
  • 現在の生活の満足度、不満
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