はじめに

ここ数年、美容家電市場は急激に拡大しています。とくに「いつまでも若々しくいたい」といったアンチエイジング的な要望を叶える美容家電の急増は、目を見張るものがあります。

その背景には、コロナ禍の”おうち美容”需要の増加があります。メーカーサイドで、フェイスケア家電の新規需要の開拓が進んだことに加え、マスクで隠れないヘアケアへの意識が高まったことによる高機能・高価格帯のヘアケア製品の需要が伸びたことで、一気に市場が拡大しました。

それまでエステに通うには、時間もお金も足りないと感じていた人が、自宅でもケアできる手軽さに、多少高額でも購入に踏み切る人が多いようです。

マスクを外して素顔を見せる機会が増加したコロナ以降は、”マスクだるみ”や”マスクギャップ”を解消することを目的に、ますますフェイスケアに注力する人が増加。SNSを通じて拡散されたことで、美容感度が高い層だけでなく、一般消費者にも浸透しつつあり、今後もますます拡大が予想されます。

そこで、家庭用美容に特化したヤーマン(6630)、MTG(7806)、Aiロボティクス(247A)の3社を比較し、投資対象として魅力的なのはどこか検討したいと思います。


ヤーマンは中国市場の影響で低迷か

まずはヤーマンから。もともと当社は、コロナ前のインバウンド特需で一気に業績を拡大しました。家電量販店で、ヤーマンブースがかなり目立つ位置に、しかも大きなスペースを取っていたのを覚えています。中国客からの人気が高く、越境ECでも売上を伸ばしていました。

ところが中国経済の低迷が業績に影を落とし、2023年3月期に過去最高益をつけたのちは、低迷しています。2024年4月1日に中国で施行された「30号公告」も逆風となっています。これは高周波(RF)を使いしわ軽減、たるみ改善などをうたう美顔器は、“第Ⅲ類医療機器”(高リスク)に区分され、登録・認証が必須になりました。これにより、中国での販売が一時停止し、24年4月期は業績予想を大幅下方修正しています。

回復はまだ遅れており、業績も低迷気味です。そのため株価も冴えない動きですが、逆に規制の壁が競争優位性に転じる可能性もあり、忍耐強くウォッチしておくことで好機をつかむチャンスに恵まれるかもしれません。

シックスパッドのMTGは過去最高予想

次にシックスパッドでおなじみのMTGを見てみましょう。女性には、顔や身体の上をころころ転がす“ReFa”のほうが馴染みがあるかもしれません。わたしも持っています。

2018年に上場したときの注目度はかなり高く、公募価格5,800円に対し、初値は7,050円と20%以上も高くつき、その直後には8,000円を上回りましたが、じつはそのときの株価が上場来高値で、その後は、ずっと底値で横ばいでした。動き出したのは2024年の後半で、ReFaのヘアアイロンなど高価格帯のドライヤーが注目されたことがきっかけとなりました。

ところが2024年の12月に連結子会社による費用の過小計上が発覚し、上向きかけた株価に冷や水を浴びせることに。発覚した翌二日間で株価は30%以上下落しました。しかし、その後、真摯に対応したことや、業績そのものには大きな影響を与えないこともあって、株価は回復、なんと今では、その時点より2倍以上も上昇しています。

今期25年9月期は、売上930億円(前年比+29.4%)、営業利益93億円(前年比2.8倍)で、過去最高を更新する予想となっています。ブランド力(ReFa/SIXPAD)を強みに、まだまだ成長の余地はありそうです。

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