はじめに
保険契約には必ずどこかに免責の文字が記載されていますが、免責金額や免責条件を深く考えずに申込をしていることはないでしょうか? 損害保険と生命保険では同じ免責という言葉でも、若干使い方が異なります。免責をつけることのメリット・デメリットなど具体例を挙げて解説します。
保険金が支払われない事由
保険金が支払われない事由は大きく分けて3つあります。
①免責金額が設定されている
主に損害保険に使われます。免責金額とは、損害があって支払保険金の計算をする際に、損害の額から差し引く金額をいい、自己負担となる金額のことです。損害保険を申込む際には、いくつかの選択肢の中から免責金額を選びます。
自動車保険、火災保険を申込む場合、あらかじめ免責金額がプリセットされていることも多いですが、選択肢はいくつか用意されていますから確認してみましょう。
火災保険では、免責金額が設定されていても、建物の全焼・全壊の際には、免責金額を適用しません。このような規定は保険会社によって違いますので確認が必要です。
②保険金の支払期間が定められている
主に病気やケガの保険に使われます。傷害保険、医療保険では、通院、入院期間の選択肢があります。
入院日数30日を設定すると、31日目から入院保険金は支払われないことになります。短期の入院が多いから、30日を超える入院などめったにないと思われるかもしれませんが、入院と次の入院の間に決められた日数をあけないと、入院期間が合算されてしまい、入退院を繰り返すと30日を超えてしまう可能性もあります。支払期間はよく考えて選択しましょう。
がんを保障の対象とする保険では、保険の効力が始まるまで、待機期間がある商品がほとんどです。一般的に保険の責任が開始するのは、申込と告知のいずれか遅い日です。責任開始から90日目までは、保険料を支払っていても、ガンに関する保障は対象外となり入院や手術保険金が支払われません。保険の見直しの際には、新しい保険の効力が有効になるまで、いままでのがん保障を継続しておく必要があります。
③保険金が支払われない場合に明記されている
火災保険や自動車保険では、加入する側が選択するのではなく、商品ごとに定められた「保険金をお支払いできない主な場合」が必ずあります。
代表的な例としては、保険契約者や被保険者などの故意、重大な過失または法令違反が挙げられます。ほかにも戦争、内乱、暴動による事故、保険の対象の自然消耗により起きた損害、地震噴火津波による損害も、特別な条件を付けての加入以外は支払われない損害です。
自動車保険で酒気帯び運転、無免許運転など法令違反を犯した状態での本人への損害は保険金が支払われないですが、被害者保護の観点から、相手への補償である対人・対物賠償は対象です。