はじめに
投資テーマとしては、今のところあまり目立ってはいないものの、地味に好調が続いているのが「オフィス家具」業界です。先日決算発表を行ったコクヨ(7984)、イトーキ(7972)ともに好決算で、株価も堅調に推移しています。いったいオフィス家具業界に何が起きているのでしょうか。
オフィス環境の変化で広がるビジネスモデル
実はオフィス家具業界は今、大きな転換期を迎えています。振り返れば、コロナ禍で在宅勤務の普及が進み、オフィス面積は一気に縮小。さらに働き方の多様化が叫ばれ、従来の「一括導入型」のオフィス家具需要が減退しました。オフィス家具メーカーは大きなダメージを受けたのです。
一方で、リモートワーク対応家具や多目的スペース向け製品の需要が増加。特に2023年以降は、企業がオフィスを“交流拠点”として再設計する動きが広がり、家具メーカー各社は新たな成長機会を模索しています。
かつてオフィスといえば、社員全員が出社して仕事をする場所であり、机や椅子は固定配置、効率重視のレイアウトが主流でした。ところがコロナ禍で在宅勤務が急速に広がると、
・事務作業や集中業務は自宅でも可能
・出勤日数が減少し、固定席の稼働率が低下
・オフィス面積の有効利用が課題化
といった変化が起きました。ここで改めて見直されているのは、オフィスが人と人が交流し、アイデアを生む場としての役割を持つことです。
事実、リモートワークでは偶発的な会話が減り、チームの一体感が薄れるという意見が多く見られました。社内ネットワークを維持するためにも、交流スペースとしての役割を果たすオフィスが必要なのです。
こうしたオフィス環境の変化は、オフィス家具メーカーにとって大きなチャンスとなっています。固定デスクからフリーアドレスや可動式家具へ、単機能家具から複数用途対応家具へ、機能優先からデザイン性・快適性重視へ──こうした流れを的確に捉える必要があります。
そこでコクヨやイトーキなど大手オフィス家具メーカーは、家具販売に加えてレイアウト提案・内装施工まで一括提供するビジネスモデルを広げています。
オフィス家具関連株の上昇はまだ続くのか?
人気投資テーマとしてベスト30にもランクインしないほど地味なオフィス家具業界ですが、概ね関連銘柄の株価は上昇トレンドを継続中です。この上昇はまだ続くのでしょうか。
画像:TradingViewより
オフィス家具メーカーの御三家、コクヨ(7984)、イトーキ(7972)、オカムラ(7994)の直近決算から考えてみましょう。