はじめに
富裕層の再定義とその意義
富裕層や準富裕層の増加背景には、相続による資産移転も一因ですが、リスク資産の値上がりや円安による外貨建資産価値の上昇もあります。つまり富裕層は、生まれながらの環境や特別な才能がなくても、戦略と実行によって実現できる時代になったといえるでしょう。
さて、資産運用を本気で考える前に、そもそも「富裕層になること」の意味を再定義する必要があります。私たちが富裕層を目指す理由は、単なる「贅沢」や「見栄」ではありません。そこには、より自由に、より安心して人生を生きるための「選択肢の拡張」があります。
現代日本の経済環境と資産形成の必要性
経済的な基盤があれば、人生における選択肢は大きく広がります。例えば、働く場所を選べる自由や、教育や医療において質の高い選択肢を選べる自由、家族や社会に対してより積極的に貢献できる余力、不測の事態に備える心理的な安心などは、いずれも一定以上の経済的基盤があって可能になるものです。
「お金がすべてではない」とはよく言われますが、「お金がなければできないこともある」わけです。
2025年現在、日本ではインフレ率は緩やかに進行し、年金制度への不安も根強く、消費増税など税負担の増加もあり、富裕層でも自由に使えるお金は減っているかもしれません。個人が自力で資産形成を行わなければ、「老後2000万円問題」どころではない時代が到来しています。富裕層を目指すという生き方は、これからの時代の「持続可能な生き方」のひとつと言えるでしょう。
富裕層になるための方程式
では、実際に富裕層を目指すには何をすれば良いのでしょうか? 答えは非常にシンプルです。
「収入」−「支出」+「資産運用」でいかに粘り強く、継続的に資産構築を実行できるかにかかっています。特に重要なのは、「収入を増やす」だけでなく、「支出を抑え」、「資産運用を仕組化する」ことです。年収1000万円の人が貯金ゼロで、年収500万円の人が毎年100万円の資産運用に回しているのであれば、後者の方がはるかに早く富裕層に近づきます。
富裕層とは、「たくさん稼ぐ人」ではなく、「お金を残し、殖やせる人」なのです。
2024年から始まった新NISA制度は、まさに「中間層から富裕層への扉を開く制度」と言っても過言ではありません。年間360万円の投資枠、1800万円の非課税限度額を活用し、長期的に積み立てれば、金融資産は指数関数的に増えていきます。
資産形成には、具体的な手法も大切ですが、何よりも「マインドセット」が鍵となります。富裕層に共通する考え方や姿勢を持つことが、継続の源になるからです。
よろしければ、投資で富裕層になる手法について書いた本連載の記事も参考にしてみてください。