はじめに
日米の主要株価指数が過去最高値を更新する場面がありました。米国の利下げへの期待感が広がったことや、関税交渉の進展により企業業績への影響が見通しやすくなったことが追い風となりました。
その中で、連日売買代金上位を占めたのがサンリオ(8136)株でした。8月13日には、プライム市場トップの4605億円となりました。
サンリオはなぜここまで伸びたのか
きっかけは8月8日の取引終了後に公表した、2026年3月期の業績でした。26年3月期第1四半期(4-6月)の連結営業利益は前年同期比88.0%増の201億円に拡大しました。期初想定を上振れ、四半期として過去最高を記録しました。併せて、4-9月期(上期)の営業利益を従来予想の275億円から350億円に、通期の営業利益を従来予想の600億円から673億円へそれぞれ上方修正しました。サンリオのV字回復の主な理由として、社長交代による戦略転換やサンリオピューロランドの改革が挙げられます。
同社は2020年に、創業60年で初めての社長交代を行い、辻信太郎会長(当時92歳)から、孫の辻朋邦専務(当時31歳)が社長に就任しました。2023年5月には「価値創造ストーリー」として 時価総額1兆円/営業利益500億円という10年後の目標を掲げたが、大幅な前倒しでの達成という快挙を成し遂げました。
2025年には、組織変更を行い、早期の収益化とIP拡充、マネタイズ多層化を実現するため、デジタル事業開発部とゲーム事業部を事業戦略本部から独立させ、デジタル事業本部を新設しました。それが功を奏し、今期の連結営業利益の673億円は市場予想を上回り、同社が5月にアップデートした27年3月期の新たな営業利益の目標である「650億円以上」を前倒しで達成する見込みです。年間配当も60円と従来予想の54円から6円増加しました。