はじめに
楽天証券がiDeCoの商品除外に関するお知らせを再度発表しました。この発表は、長期投資を行う上で大切なことはなにかを学ぶ、絶好の機会です。iDeCoの加入者も、そうでない方もぜひ参考にしていただければと思います。
参考記事:
楽天証券でiDeCoを利用している方は要注意! 9本の投資信託が除外でどうなる?
楽天証券iDeCoの商品除外を延期に これからとるべき行動は?
iDeCoは運営管理者が商品を厳選している
長期投資という言葉がだいぶ浸透してきました。短期的な市場のアップダウンに一喜一憂するのではなく、長期的な視点で成長する経済の恩恵を受けようという方が少しずつ増えています。
ここで勘違いしやすいのが「長期」という概念です。これは、投資商品を選んだらそのまま長期保有、あとはほったらかしにしておけば良いという意味ではありません。
ここでいう長期とは、経済の成長を見届けられるほどの充分な時間をもって、投資を継続するという意味です。経済の成長には、アップダウンがあるので、無理をしない金額でコツコツ積立をし続けるのも長期投資です。
もちろん投資商品はほったらかしにするのではなく、必要に応じて見直しする必要があります。例えば、投資信託であれば、より低コストでパフォーマンスの優れた商品があれば、入替を考えたいですし、投資に対するリスク許容度が変わった時なども投資対象を見直すタイミングです。
とはいえ、一般投資家が6000本以上ある投資信託の中から、優れた投資信託を選び、時に自身のポートフォリオを入替するのはとても困難です。
そのためiDeCoでは、運営管理機関がそのサポート役を担っています。具体的には、たくさんある投資信託の中から、35種類をめどに加入者のために運用商品を絞りこんでくれています。
また運営管理機関は、適時運用商品のモニタリングを行い、iDeCo加入者が不利益を被るような高コストの商品やパフォーマンスが落ちた商品を適時入替、iDeCo加入者にとって長期投資を継続しやすい環境を整えるという大切な役割も担っています。
楽天証券によるiDeCoの商品除外発表の良かった点
今回の楽天証券は、iDeCoの運営管理機関の責務の一環として商品の入れ替えを提案している訳ですから、その背景を知ることはすなわち長期投資での商品選びに参考になるはずだというわけです。
実は楽天証券は5月に同様の発表を行っています。しかし、商品を除外するためには、その商品に投資している加入者からの賛否を集めなければならないのに、充分な情報も時間もないと問い合わせが殺到しました。そのため楽天証券は一旦これを取り下げ「延期」しました。
それから4ヶ月が経過し、9月19日に【iDeCo(個人型確定拠出年金)】運用商品入替についてのご案内を同社ホームページに掲載したのです。前回は「商品除外」という言葉を使っていたのに対し、今回は「入替」としているところも興味深いです。
改めての発表は以下3つの点で良かったのではないかと思います。
ひとつが、除外対象となる商品を選考するにあたっての基準が以前より具体的に示されたことです。発表では、「楽天証券ファンドスコア(5年)」の24カ月ローリング平均値(月末のファンドスコア(5年)24カ月分の合計を24で割った数値)が2.5未満のファンドとしています。またファンドスコアは、だれもが「投信スーパーサーチ」で確認できるという点も透明性が高いといえるでしょう。
二つ目は、今回選択された9本の除外商品が確定された後に追加する商品を同数の9本明示した点です。これにより、運営管理機関からみた今後加入者にとって有益であると考える商品群を確認することができます。
三つ目は、除外対象となった商品を保有あるいは積立をしている方で除外に同意しない場合はその意思表示をしなければならないのですが、その受け入れの期間についても充分な期間を取り、丁寧にフローの説明が行われている点です。最終的に対象商品の買い付け、追加商品の買い付けは2026年4月以降というスケジュールも充分な準備期間を設けたものと考えます。