はじめに
東京証券取引所は2025年2月、「資本コストや株価を意識した経営」の実現に向けた要請を踏まえ、中長期的な企業価値向上を目的として、親子上場の在り方を含む、グループ経営等に関する開示状況のフォローアップを、2025年秋までに公表するよう各社に要請しました。
こうした東証の改革を背景に、親子上場の解消が加速しています。親子上場企業数は9月末時点で168社となり、ピークであった2006年度から6割減少。これは36年ぶりの低水準です。解消事例としては、2025年に完全子会社化が予定されているNTTによるNTTデータへのTOB(株式公開買付)や、三菱商事による三菱食品へのTOBが挙げられます。
fundnoteが新ファンド設定、TOB戦略で価値追求
日本株アクティブファンドを専門に扱うfundnoteは、こうした市場環境の変化を捉えるため、第三弾となる公募投信信託「fundnoteTOB企業価値ジャッジファンド(愛称:匠のファンド さいこう)」を新規設定することを10月15日に公表しました。
fundnoteは2021年8月に設立され、著名投資家の井村俊哉氏が投資助言を行う「日本株Kaihouファンド」の運用実務を担ったことで一躍有名になりました。日本株Kaihouファンドは、2025年1月に公募投信として当初設定額歴代1位となる99.83億円を集めています。同社のファンドは、国内公募投資信託でありながら非上場企業に直接投資を行うなど、これまでにない商品性と、運用者の顔が見える高い透明性が特徴です。特に30代から50代の経営者や富裕層の投資家から高い評価を得ています。
ファンドの戦略と銘柄構成
「fundnoteTOB企業価値ジャッジファンド(愛称:匠のファンド さいこう)」は二つの主要戦略で運用されます。
1つ目がTOBジャッジ戦略です。親子上場など、株主構成に起因して経営に緩みが生じ、企業価値やROE(自己資本利益率)の向上が十分に実現されていない企業を対象とします。本源的価値との乖離、およびTOB等のコーポレートアクションの可能性に着目して投資を行う戦略です。過去10年のTOBプレミアムは中央値35%と高水準であり、魅力的な投資機会を提供するといえます。組み込み予定銘柄は、食品3銘柄、建設3銘柄、情報・通信6銘柄など計12銘柄を想定しています。
親⼦上場など、株主構成に起因して経営に緩みが⽣じ、企業価値やROE(自己資本比率)の向上が⼗分に実現されていない企業を対象としています。本源的価値との乖離、およびTOB(株式公開買付)などのコー ポレートアクションの可能性に着⽬して投資を行う戦略です。
過去10年のTOBプレミアムは中央値35%と高水準であり、魅力的な投資機会を提供するといえます。組み込む予定銘柄は、食品3銘柄、建設3銘柄、情報・通信6銘柄など14銘柄を想定しています。(想定保有1~2年程度)
もうひとつが企業価値ジャッジ戦略です。⼀時的な要因により本源的価値に対して過⼩評価されている銘柄に投資を⾏い、 株価が本源的価値へと是正される過程でのリターン獲得を⽬指します。組み込む予定銘柄として、ホシデン、日本電気、高砂熱学工業、北陸電力、大成建設、ファナック、ソニーグループなど15銘柄を想定しています。(想定保有3か月程度)
当初募集期間は2025年10月31日~2025年11月20日まで、運用開始日は2025年11月21日です。購入手数料はなし、信託報酬は、ファンドの純資産総額に基本報酬率年1.98%(税抜き年1.8%)を乗じて得た額がファンドの計算期間を通じて毎日計上されます。購入単位は100万円以上1円単位です。