はじめに
読者のみなさんからいただいた家計や保険、ローンなど、お金の悩みにプロのファイナンシャルプランナーが答えるFPの家計相談シリーズ。今回の相談者は、57歳の独身女性です。定年を待たずに早期退職し、趣味を仕事にしたいと考えているようです。果たして今がそのタイミングなのでしょうか。FPの氏家祥美氏と一緒に検討していきます。
独身の医療職です。会社員(手取り35万程度)をしながら、医療職のパートでの副収入(時給2,000円・5万程度)と趣味の副収入(3万程度)があります。定年の60を待たずに今の勤め先を辞めて、サイドFIREをしたいと考えています。趣味の副収入を個人事業主となってもっと増やしていきたいと思いますが、実際に上手く行くかは不透明です。個人事業主としてやっていく事に関しては、ほぼ準備が整っています。しかし、実際に個人事業主となった場合、その収入だけでの生活は難しいと思うので、医療職のパートは継続したいと思ってますが、どの程度働かないといけないでしょうか?資産のうち現金の割合が多いと思い、数年前からNISAの金額を増やしているので、投資金額を合わせると支出は月々収入を超えています。また、国内外の旅行が好きで、年間50万以上は使っています。定期的に30万以上入る定職を辞める事に不安を感じる一方で、今の資産があれば可能にも思うのですが、どうでしょうか?今のところ65歳からの年金は13.6万円程度の様ですが、今後辞めたら13万くらいになるのかなと思ってます。
【相談者プロフィール】
・相談者:女性、57歳、未婚、会社員
・お住まい:マンション(持ち家)
・毎月の世帯の手取り金額:43万円
・年間の世帯の手取りボーナス額:100万円
・その他:なし
・毎月の世帯の支出の目安:28万円
【毎月の支出の内訳】
・住居費:3万円
・食費:4万円
・水道光熱費:2万円
・教育費:4万円
・保険料:0.4万円
・通信費:0.3万円
・車両費:なし
・お小遣い:5万円
・その他:8万円
【資産状況】
・毎月の貯蓄額:なし
・ボーナスからの年間貯蓄額:3万円
・現在の貯金総額:1,770万円
・毎月の投資総額:35万円
・現在の投資総額:3,670万円
・現在の負債総額:なし
こんにちは!今回は定年退職を待たずに本業を辞めて、趣味を生かした個人事業に移っても大丈夫か、というご相談ですね。個人事業主としての「準備はほぼ整っている」状態なので、すぐに本業を辞めた場合の暮らしをシミュレーションしてみましょう。
ご相談のポイントは大きくこちらの3つです。
(1)生活費を2つに分けて考える
(2)退職後1年間は、週3日のパート継続で「生きるためのお金」を稼ぐ
(3)「豊かさのためのお金」は個人事業から
(4)65歳以降は年金と運用益で
生活費を「生きるためのお金」と「豊かさのためのお金」に分けて考える
毎月の生活費は28万円ということですが、これを大きく2つに分けて考えましょう。1つは「生きるためのお金」で、基本生活費は9.7万円とお小遣い5万円がこれに当たります。住宅ローンを完済したマンションをお持ちということで住居費が抑えられていることもあり、基本生活費がコンパクトなのはいいですね。最低限の暮らしをイメージするなら、お小遣いはまだ減らす余地があると思うので、「生きるためのお金」は月額13~15万円程度と考えられます。
2つめは、事業や趣味などにかかるお金です。ここでは「豊かさのためのお金」としておきます。「趣味を生かして生徒さんに教えるお仕事」で個人事業を始めたいということですから、「教育費」4万円はその趣味であり新事業に関連することかと考えました。「その他」8万円には、「旅行が好き」ということなので旅行費用や、日用品や交際費、洋服代などが含まれるでしょうか。「豊かさのためのお金」は月額12万円となります。
