はじめに

選定の際に注意すべき“優待節約活用”の落とし穴

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優待を活用して節約につながるのは魅力的ですが、実務的に運用するには注意点もあります。

1. 必要な投資金額と優待価値のバランス

優待目当てで銘柄を買う際、株価が高く、最低投資金額が大きいと「優待利回り」が低くなって実質メリットが薄くなることがあります。選定する際は、優待価値÷投資金額で実質還元率をざっと計算する習慣を持つとよいでしょう。今は計算をしてくれている便利なサイトもあるので活用してみてください。

2. 優待権利確定月・長期保有条件を確認する

優待をもらうためには権利確定月をおさえなければなりません。また、いくつかの銘柄では“長期保有”条件(例えば1年以上保有)や“100株以上×〇〇株以上保有”などの条件があります。今回ご紹介したなかですとライフコーポレーションは優待がもらえるのは長期保有のみです。インフレ時だからといって頻繁に売買を繰り返すと、優待を得られないまま税金・取引手数料だけ払うことになりかねません。

3. 実際に使うかをシビアに考える

魅力的に思えても実際は使わなかったとなると恩恵を受けられないので、その点はシビアに考えると良いと思います。もらったのに優待を使わなかった……というもったいない経験を持つ投資家は意外と多いと思います((実は私も経験がございます)。今回ご紹介したなかですと、特にイオンに関しては日常の買物をイオン系列で行っているか、買物1%還元カードを実質活用できるかを事前に考えることがポイントです。少し遠方の場合は「週1回イオンでまとめ買い」など運用ルール化すると、優待の価値を最大化できます。実際に活用できるかどうかは、あなたのライフスタイル(買物頻度・外食頻度・通信費・固定費構造など)に依存することをお忘れなく。

4.優待変更・廃止リスクも視野に

企業の経営環境が悪化すると、優待制度を縮小・廃止するリスクがあります。インフレが進行する中ではコスト負担が増える企業もあり、優待を継続できるかどうかの“制度維持可能性”も確認しておきましょう。

5. 株価変動リスクを忘れずに

優待目当てで株を買っていると、「優待さえもらえればいい」という心理になりがちですが、株価が下がってしまえば含み損を抱える可能性もあります。優待+配当+株価上昇というトリプルの利点があるかを考えることが重要です。

優待を家計節約ツールとして使う実践ステップ

最後に、優待を家計節約ツールとして使うための実践ステップをお伝えします。

1.家計支出を分析する

自分の家計をざっと棚卸しします。特に、インフレ影響を受けやすい支出項目(食品・外食・サービス・通信・エネルギー)を洗い出します。

2.優待カテゴリとの照合

支出項目を見た上で、「優待で代替できそうな支出」を探します。例えば、「外食が多い」「食品買物量が多い」「通信・固定費が高い」などの場合、該当優待銘柄をリストアップします。

3.銘柄調査と必要株数・投資額の確認

候補銘柄の優待内容、最低購入株数、権利確定月、優待条件を調べます。自分の保有可能な資金と照らして現実的にどのくらい保有すれば効果が出るかを試算します。そして株式を購入保有した後は優待受取時期と使い勝手の整理をしましょう。

優待は「いつ受け取れるか」「どのように使えるか(現物/商品/券/ポイント)」「家族・生活スタイルに合うか」を確認します。

実際保有してみて使いやすかったかどうかも節約効果には直結します。そのうえで定期的な見直しをしましょう。インフレ環境は変化します。優待価値・株価・企業環境・優待制度の継続可能性などを、年に1回以上チェックして「この優待銘柄はこのまま保有に値するか」を判断し直しましょう。

暮らしに合った優待銘柄を数本選び、「保有して優待を使って生活費を抑える」という習慣を作るということは、インフレが進み家計支出が日々増えていく時代において個人投資家としても極めて実践的です。

加えてインフレはモノの価格が貨幣価値に比べて上がる傾向にあるため、株式も上昇しやすい傾向があります。その面でも株式投資をするのは合理的な判断といえます。

ただし、それを機械的に優待だけで選ぶのではなく、企業分析+優待活用の両輪を回すことが鍵です。

この記事が少しでも皆様の投資のお役に立てば幸いです。

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