はじめに
読者のみなさんからいただいた家計や保険、ローンなど、お金の悩みにプロのファイナンシャルプランナーが答えるFPの家計相談シリーズ。今回は内藤忍氏がお答えします。
今後の資産運用について相談があります。現在の年収は700万円程度。預貯金として200万円、投資信託が100万円あります。投資信託は、国内・海外の債券や株式に広く投資するインデックスファンドを購入しています。現在は毎月定期預金に2万円、投資信託を7万円購入することで、徐々に投資信託の割合が増加していくようにしています。
1)仕事を大事にしたいため、投資に大きく時間を割きたくない
2)長期的に資産を形成したい上記の要望を叶えるためには、今後のポートフォリオをどのように構成していけばよいでしょうか。アドバイスをお願いします。
(20歳後半 独身 男性)
内藤: ご質問ありがとうございます。
ご質問者の方は、まだ20代後半と若く充分な時間がありますから、長期運用を前提に数十年単位での資産運用を続けることができると思います。
ただ現在、預貯金比率が200万円と高いにも関わらず、継続して毎月定期預金の残高を積み増しているのは、あまり賢明とは言えないでしょう。
給料3ヶ月分手元にあれば安心
預金に過剰な配分を行わないようにするためには、まず資産全体のなかで預貯金として手元に置いておく金額を決めて、それ以外は投資信託を組み入れてインデックス運用を行うとよいでしょう。
手元の待機資金の原則は給料の3か月分。今回は、やや少なめに100万円と仮定すれば、300万円のうち200万円を投資に回すことができます。
手元にある定期預金のうち100万円については、1年程度で投資信託に振り向けていくとよいでしょう。3か月で50万円というようにペースを決めて配分比率を変えていくことになります。
それに加え、毎月積み立てている9万円をすべて投資信託の積立に回していくことによって、投資信託を使ったインデックス運用の残高を増やしていくことができます。
たとえば、200万円の資産配分として以下のようなかたちが考えられます。
・国内株式 20万円
・国内債券 60万円
・外国株式 60万円
・外国債券 20万円
・その他資産 40万円
いずれのアセットクラスも、低コストのインデックスファンドが用意されています。積立も1,000円単位で可能ですので、同じ配分比率で毎月自動購入していけば、全体でも同じ比率をキープできます。
年に一度は「リバランス」
配分比率の歪みは年に1回の「リバランス」で行います。
相対的に値上がりが小さく配分比率が低くなった資産を多めに積み立てることで、全体を調整しましょう。
資産金額が1,000万円を超えたら、不動産のような実物資産の組み入れも検討してみましょう。国内だけではなく、海外の不動産も含め、グローバルな分散投資ができるようになれば、実物資産と金融資産のバランスを考えたポートフォリオを構築できます。
なお、今回ご紹介した資産運用のオーソドックスな方法とは別に、金額が1,000万円に到達する前に、レバレッジをかけて国内不動産に投資する方法もあります。
この場合、リスクはインデックスファンドを使った積立投資に比べれば大きくなります。最終的には自分のリスク許容度に合った投資スタイルを確立し、長期で続けられる方法を選択していきましょう。