はじめに

将来の収支、「想定外」を防ぐ

次にFIRE後の支出について考えてみたいと思います。

現在の家計を見る限り、堅実な家計運営をしてきたことが伺えます。しかしながら、お子さんはまだ4歳でほぼお金がかかっていません。現実的には、今想定されているより、学習費や生活費がかかってくると思います。

現在、お子さんの進路を小学校から高校までは公立、私立理系に進学し、大学院の修士課程までを想定していらっしゃいます。文部科学省が実施した調査によれば、年間にかかる学習費は公立小学校で204万円、中学校で162万円、高校で180万円。私立理系の4年間の学費は約550万円、私立理系大学院は210万円で、合計で約1,300万円かかります。(※令和5年度子供の学習費調査)
ただし、これはあくまでも平均であり、現在の学習費。今後、習い事が増えたり、予備校代がもっとかかるかもしれません。

さらに、水道光熱費も月2万円ですが、会社を辞めて自宅にいる時間が増えると、これらも増加する可能性が高いです。
加えて、現在はレジャーに月5千円、旅行や帰省、家電などの買い換えに月2万円の積み立てをしていますが、今後はもっとかかってくる可能性が高いです。

たとえば、子どもが小学生を超えるとなんでも料金が上がります。また、どこへ出かけるかにもよりますが、学校が休みの時にどこも行かずに家にいるということもできないでしょう。

また、年齢が上がれば、購入しなければならないものも増えてきます。これらを考慮すると、レジャーへは年間40万円、家具・家電・パソコン・スマホの買い換えなどに、年間30万円程度かかると考えた方がいいでしょう。

最後に、ご自身と奥様の介護費用も考える必要があります。現在は長寿の時代です。自分や奥様の介護にも備えておかなくてはなりません。生活費以外の介護費用だけでも、80歳で2人で老人ホームに入る事を想定した場合、1人分の入居費だけで500〜1,000万円程度かかることもあります。

生活を破綻させないために、支出は多めに見積もっておく方が安心です。なお、支出を大幅に増やして見積もりましたが、現在の家族状況においては、これくらい支出が増えてもFIRE後の生活に支障をきたすほどではありません。よほど大きな浪費をし続けない限りは、生活は安泰でしょう。

FIRE後の税金や国民健康保険料

FIRE後はどのように株式譲渡益等を申告するかということも、それによって住民税や国民健康保険料が異なってくるので注意が必要です。

現在の資産の名義や状況がどのようになっているのか分からりませんが、特定口座・源泉徴収ありで投資をしていると想定します。

申告不要制度を活用している間は、譲渡益にかかる所得税や住民税は源泉徴収されるので、給料が現在想定している範囲であれば住民税や国民健康保険料は減免等の対象になると思います。

しかし、損益通算や外国税控除を受けるために確定申告をした場合、、株式譲渡益が所得に加算され、住民税と国民健康保険料に反映されることで支出がさらに多くなります。
また、所得増加により都民住宅の居住要件を満たさなくなる可能性も出てきますので確定申告をするかどうかは注意が必要でしょう。

安心したFIRE生活をおくるために

今回指摘したような支出が増大しても、現状の家族構成では、シミュレーション上は100歳まで資産が持ちます。そのため、サイドFIREの実現は問題なくできると言っていいでしょう。

FIRE後は、できる限り労働を減らし、また節約・節税をしながら生活していくことを想定していると思います。それゆえ、会社を辞めた後は極端に収入が少なくなっていますし、都営住宅への入居も検討されています。一方、運用や都営住宅への入居が順調にいけばいいですが、人生何が起きるか分かりません。想定外に支出が増えた場合に、運用益に頼った収入だけだと変化に対応しきれないこともあります。将来に渡って安心して生活するために、支出を抑える、節税だけに目を向けるのではなく、無理のない範囲で「稼ぐ力」を確保しておく事も大切です。家族構成に変化が生じたときなどは、そのときの資産の状況を鑑みつつ、臨機応変に収入のあり方について再検討をするとより安心だと思います。

以上のように、ゆるく働きながら、資産状況に合わせて柔軟に対応できれば、自分の時間を大切にしながら、安心したFIREライフを過ごせると思います。参考になれば幸いです。

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