はじめに
5.クラウドサービス(Google Drive, Dropbox等)の整理
クラウドサービスは、プライベートから仕事まで大量のデータを蓄積する場所ですが、アカウントの凍結やデータ消失のリスクもあります。不要なデータは削除し、家族写真などの残したいデータは家族アカウントと共有設定にするか、バックアップを物理メディアに移行するなど、アクセス不能になる前の対策が必要です。サービスごとの「アカウント停止・削除の指定機能」を利用することも有効です。
6.SNSアカウント(X, Instagram, LINE等)の意向決定
SNSアカウントは、本人の死後も残り続けることが多く、乗っ取りや放置によるトラブルの元となります。中年期のうちに、アカウントを「削除」「記念アカウント(追悼アカウント)として残す」「家族に運用を任せる」といった明確な意向を決め、各サービスの「遺産管理設定」を行うべきです。これにより、遺族が故人のアカウントの処遇に悩んだり、勝手に削除してトラブルになったりすることを防げます。
7.メールアカウントと重要連絡先の整理
メールの履歴には、各種契約情報、請求書、重要な連絡先の情報が詰まっています。メインで使っているメールアドレスとパスワードをリスト化するだけでなく、重要度の高い連絡先やメールをフォルダ分けして整理しておきます。
これにより、家族が死後に契約の解約手続きや、重要な連絡相手への訃報連絡をスムーズに行えるようになります。
8.スマート家電・デジタルデバイスの初期設定情報の記録
スマートスピーカー、セキュリティカメラ、スマートロック、スマートメーターなどの家電やデバイスは、所有者のアカウントと複雑に紐づいています。これらの機器の初期設定情報や、連携しているアカウント情報を記録しておかなければ、死後に家族が機器をリセット・売却することも困難になります。中年期のうちに設定情報を整理し、家族が容易に引き継げる状態にしておくことが必要です。
9.業務関連データ・資産の公私分離と整理
中年期は仕事の重要データや専門知識がデジタルで蓄積されていますが、これらが個人デバイスに残っていると、会社への情報漏洩リスクや、遺族によるデータの誤削除につながります。
プライベートなデバイス内に仕事関連のデータがないかを確認し、仕事と個人のデータを完全に分離させ、仕事のデータは会社へ適切に引き渡せるよう整理しておくことで、死後の職場への迷惑を避け、遺族の混乱を防ぎます。
デジタル終活は、「死を意識した準備」というより、「未来の安心のためのライフプランニング」と捉えるべきです。パスワードのリスト化や不要なサブスクの解約といった作業は、情報整理を通じて現在の生活の効率を上げ、無駄な支出を削減する効果ももたらします。
今回ご紹介した項目を、ご自身のライフステージに合わせて少しずつ実践することで、情報の一元管理体制を築くことができます。大切な家族に「デジタル遺品」という名の重荷を残さないために、元気なうちから一歩を踏み出しましょう。
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