はじめに

③ 個人型(iDeCo)を利用するケース

定年以降も厚生年金に加入し働き続けるのであれば、iDeCoへの加入も選択肢として有効です。iDeCoに加入することによりその掛金全額が所得控除となり、60歳以降の就労収入における節税が可能です。

また継続加入する期間は新たな退職所得控除の計算の元となり受け取り時に活用が可能です。なお、60歳以降のiDeCoの加入期間は退職一時金との重複期間にはなりません。

A:企業型DCをiDeCoに「移換」して継続加入する

定年後にiDeCoに加入し、企業型DCの資産800万円をiDeCoに移換します。このメリットは、企業型DCの加入期間とiDeCoの加入期間が「通算」できることです。すなわち、60歳でiDeCoに加入すると加入期間「16年目」としてカウントされていくのです。

例えば65歳まで継続加入した場合、iDeCoの加入期間は20年となります。ここで一括受け取りをすると、新に築いた5年分、すなわち200万円(40万円x5年)の退職所得控除を使うことができます。

60歳までの退職一時金との重複期間で打ち消された退職所得控除が復活することはありませんが、それでも200万円の退職所得控除は大きな節税に繋がるでしょう。※退職一時金を受け取りの際に使い切れなかった退職所得控除は、iDeCoを一括で受け取る際に使うことができます。

B:iDeCoに「改めて」加入するケース

現在法律が変わり60歳をすぎても公的年金に加入している場合は、iDeCoに加入することができます。iDeCoの老齢給付を受け取っていないことという条件はありますが、企業型DCはiDeCoではありませんから、企業型DCを60歳で受け取った後、iDeCoに改めて加入するができます。

A様のケースでいえば、上記で解説したように企業型DCの800万円を一括と分割の併用で受け取り、その後iDeCoに新たに加入します。加入期間中の所得控除のメリットと受け取り時に新たに退職所得控除を生まれるメリットは上記の通りです。


もちろん企業型DCの受け取り方法は、税金だけではなく、公的年金の受け取りを含めたキャッシュフローや介護等に備える資金準備など踏まえて総合的に考える必要があります。いずれにしても、専門家に相談しつつ、確定拠出年金の受け取り方はよく考えられると良いかと思います。

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