はじめに

オルカン投資家が次に考えるべき「第2の柱」

オルカンは「攻め」に強いファンドですが、一方で、景気後退やインフレ、為替変動といった“守り”には弱いファンドといえます。だからこそ、オルカン投資を継続している人ほど、リスクを緩和する「第2の柱」を持つべきなのです。ここでは、代表的な3つの戦略を紹介します。

①債券ファンドで「守り」をつくる

株式と債券は、一般的に逆相関の関係にあります。株価が下がるとき、債券価格が上がることが多く、全体の値動きを抑えてくれます。特に今は、長期金利が上昇し、米国債の利回りが4%台と高水準です。

「債券=リスクに見合わない時代」はすでに過去のものになりつつあります。中期(3〜5年)債や、インフレ連動債などをポートフォリオに加えれば、安定的な利回りを得ながら下落時のクッションを確保できます。オルカンの“エンジン”に対して、債券は“ブレーキ”。両者をうまく組み合わせることで、攻守のバランスのとれた資産運用が可能になります。

②ゴールド(ETF)で“通貨リスク”を分散

株も債券も下がる局面(たとえばインフレや地政学リスクなど)で存在感を発揮するのが「金(ゴールド)」です。金は利息を生みませんが、通貨価値が下がるときに買われる“価値の保存資産”といわれています。特にドル安や円安の影響を受けにくいため、為替や株式のヘッジとして有効です。「全体の5〜10%を金で持つ」だけでも、ポートフォリオ全体のリスク耐性は大幅に高まります。長期投資の中で、金はリターンを押し上げるというよりも、“リスクをならす”ための存在と捉えるのがポイントです。

③為替ヘッジ型商品で“円高ショック”に備える

オルカンは円建てで購入しても、実際には外貨建て資産を保有している状態です。そのため、円高になると円換算での評価額は下がります。そこで検討したいのが、「為替ヘッジ付きファンド」です。

先進国株式や米国債ファンドでも、ヘッジありタイプを一部組み入れることで、為替の影響を軽減できます。「為替リスクを完全に避けたい」という人は、円建て債券や国内REITを組み合わせるのも一案です。

大切なのは、“何を買うか”より“どう持つか”

投資の成果は、どの銘柄を選ぶかよりも、どう組み合わせ、どう持ち続けるかで決まります。

どんなに優秀なファンドでも、一本では相場の波に翻弄される可能性があります。リスクを減らすということは、単に値動きを小さくすることではありません。「自分が続けられる形に整えること」こそが、本当のリスクコントロールです。

“株式100%の値動きをどこまで許容できるか”、”為替変動による資産の増減をどれだけ気にするか”、”暴落時でも冷静に積立を続けられるか”

これら3つの問いに対する答えが、あなたの“投資におけるリスクに対する耐性”を示すものになります。運用は短距離走ではなく、何十年にも及ぶマラソンと同じです。途中で辞めない仕組みをつくることこそが、最終的なリターンを最大化します。オルカンはその基礎体力を養う「メインエンジン」。そこに債券や金、為替ヘッジといった“補助装備”を組み合わせることで、どんな相場にも揺らがない投資体制が完成します。

“ゴールは「儲けること」ではなく、「続けられること」”

これが、長期投資の成功条件といえるかもしれません。

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