はじめに

教育費は「投資ですべて賄える」ものではない

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子ども向けNISAが議論される中で、最も多く聞かれる誤解が「教育費をすべて投資で準備できる」という考え方です。

教育費は、時期と金額がある程度予測可能な支出です。
文部科学省の調査によれば、令和5年度における各学校種の「学習費総額(年額)」は以下のとおりです。

公立幼稚園:18万4,646円(前回:16万5,126円)
私立幼稚園:34万7,338円(前回:30万8,909円)
公立小学校:33万6,265円(前回:35万2,566円)
私立小学校:182万8,112円(前回:166万6,949円)
公立中学校:54万2,475円(前回:53万8,799円)
私立中学校:156万359円(前回:143万6,353円)
公立高等学校(全日制):59万7,752円(前回:51万2,971円)
私立高等学校(全日制):103万283円(前回:105万4,444円)

※出典:文部科学省 令和5年度子供の学習費調査の結果(令和6年12月25日)

令和3年の前回調査と比べ、基本的には増加傾向にあります。さらに大学進学までに必要となる教育費は、進路によって大きく異なるものの、数百万円から1,000万円以上になるケースも珍しくありません。

このような「たびたび、かつ確実に必要になる資金」を、価格変動の大きい資産だけで準備するのは合理的とは言えません。仮に株式市場が長期低迷している局面で進学時期を迎えた場合、想定より資産が増えていない、あるいは減っていることで、選択肢そのものを諦めざるを得なくなる可能性があるからです。

そのため教育費については、預貯金や学資保険など、価格変動のない手段で「最低限」を確保し、それを補完する形で投資を活用するという発想が現実的です。これは金融機関の営業トークではなく、リスク管理の観点から見た基本原則です。

子ども向けNISAの本当の役割

では、子ども向けNISAは何のために存在するのでしょうか。私自身は、「教育費を作るため」というよりも、世帯単位での非課税投資枠を広げる点に意義があると考えています。

現行の新NISAでは、大人一人あたり生涯投資枠は1,800万円です。仮に夫婦二人であれば3,600万円になります。ここに子どもの枠が加わることで、世帯全体として活用できる非課税枠は大きく拡張します。

この点について、多くのファイナンシャルプランナーや専門家が、「個人」ではなく「家族全体」で資産設計を考える時代に入ったと指摘しています。

重要なのは、この枠が「子ども名義」であるという点です。口座の資産は法的には子どものものとなり、親の都合で自由に使えるわけではありません。年間60万円であれば贈与税の非課税枠内に収まるケースが多く、資産を長期で守る仕組みでもあるといえそうです。

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