はじめに
火災保険の相談をしていると、「火災保険は建物だけでいいですよね?家財はいりませんよね?」という質問をよくいただきます。家財保険は日常生活に溶け込んだ持ち物の保険なので、普段はあまり意識されず、必要性を感じにくい人が多いようです。しかし実際には、災害や事故のあと、生活を立て直すために欠かせない補償でもあります。今回は、家財保険が必要な理由や、補償金額の目安を詳しく解説します。
家財保険とは?
家財保険は、火災保険の補償対象のうち「家財」と記されている部分で、家の中にある「生活のための持ち物」すべてが対象となります。
具体的には、家具、家電、衣類、寝具、食器、カーテン、おもちゃ、パソコン、スマホまで生活に必要な物の大半が対象となります。最近の住宅では、造り付けの家具が増えています。一昔前では衣類の収納はタンス、食器の収納は食器棚といった具合に独立した家具を使っていましたが、現在は収納スペースが建物の一部として設けられているケースも多くみられます。こうした住宅に固定されている収納設備は、建物の一部としてみなされ、家財からは除外されるので注意が必要です。
意外にかかる家財の値段
家財一式を買いそろえると、想像以上に高額になります。たとえばテレビ10万円、冷蔵庫15万円、洗濯機10万円、ソファ10万円、ベッド5万円、衣類数十万円分と積み上げると、数百万円に達します。
家財への損害は、火災だけではなく、水災、落雷、盗難などでも発生します。特に最近は台風や豪雨で家の中まで浸水するケースが増えています。水に浸かった家具や家電は修理が難しく、ほぼ買い替えになるため、家財保険の重要性は年々高まっています。
多くの人が「家財ってそんなに高いの?」と驚きますが、保険会社が示す一般的な目安は次の通りです。
・単身世帯:200〜400万円
・2人世帯:550〜1,480万円
・4人世帯:730〜1,740万円
家財評価額が高くなる理由は、ひとつひとつの物は比較的安くても、数が多いからです。家電・家具だけではなく、衣類・食器・本・趣味の物など、日常生活に必要な品を合わせると相当な金額になります。
保険金額を低く設定すると、被害時に自己負担が発生してしまいます。保険会社が提供している簡易評価表や家財評価ツールを使うと、世帯人数や世帯の構成、住まいの広さなどから、適正な目安額を確認できますので、一度チェックしてみましょう。