はじめに
「運用実績」がないと資金が集まらないジレンマ
とはいえ現在では、ミドル・バックオフィスについては外注ができるようにルールの見直しが行われました。今後、資産運用会社の経営コストは、かなりの程度まで軽減できる可能性があります。ミドル・バックオフィスをプラットフォーム会社に一括で外注すれば、以前のように自前でシステムや人材を揃える必要が無くなり、運用に専念できるからです。
ただ、経営コストの問題をクリアしたとしても、もうひとつ大きな問題が生じてきます。それが第二の理由である「過去の運用実績がない」ことです。
独立して資産運用会社を設立する以上、インデックスファンドではなくアクティブファンドを設定するでしょう。しかし、アクティブファンドは最低5年程度の運用実績が必要です。実績がなければファンドを選ぶ側が、そのファンドのリスク・リターンを把握できないからです。
ここが悩み深い点で、新しい資産運用会社を立ち上げたとしても、過去の運用実績が無ければ、大きな資金を集めることができません。たとえば2024年4月から運用を開始した、なかのアセットマネジメントが、運用資金集めに苦戦しているのは、インデックスファンドが注目され続けているという外部環境の影響もありますが、やはりアクティブファンドでありながら過去の運用実績がない状態で設定され、かつ直近の運用実績が参考指数に対して大きく劣後していることが要因として挙げられます。
「EMP」が変える? 新興運用会社の未来
しかし、この「実績の壁」という問題も、やがて変わっていくでしょう。その鍵となるのが「EMP(Emerging Manager Program)」です。これは、新興の資産運用会社に対して、大手金融機関が資金を提供し、運用の一部を委ねる制度のことです。
この制度を用いて5年程度運用させ、本当に良い運用実績を重ねたファンドだけを一般向けにリリースさせれば、個人投資家は過去の運用実績を見て投資判断を下すことができます。もちろん、実績を上げられない資産運用会社は、この時点で淘汰されるでしょう。どれだけ高邁な理念を掲げていたとしても、それが実績につながらないのであれば、そのような運用会社は不要です。
経営コストの軽減に加え、EMPを用いて一定期間の運用実績をつくれるような環境が整えば、新興の資産運用会社が世に出やすくなるはずです。
投資管理もマネーフォワード MEで完結!複数の証券口座から配当・ポートフォリオを瞬時に見える化[by MoneyForward HOME]