はじめに

自民党をはじめ多くの政党が掲げた「食料品の消費税ゼロ」公約。報じられるやいなや、株式市場ではスーパー関連株が「待ってました!」と言わんばかりに急上昇しました。

今回は、この「0%インパクト」が私たちの生活と、そして「イオン」「ライフ」「ブルーゾーン(旧ヤオコー)」という三者三様の銘柄にどんな変化をもたらすのか考察したいと思います。


なぜ「税金が下がる」と、スーパー株が上がる?

普通に考えれば、「税金がなくなるなら、その分売上が減るのでは?」と思うかもしれません。しかし、経済心理学はもっと面白い動きを見せます。例えば、これまで108円で買っていた卵が、明日から100円になったとします。浮いた8円を、律儀に貯金箱へ入れる人は稀です。多くの人は、「あ、8円浮いたから、いつもは我慢してる『ちょっと良いドレッシング』を買おうかな」という行動に出ます。これを専門用語で「所得効果」と呼びますが、要は「財布の中身が増えた気分になって、ついワンランク上の買い物をしてしまう」現象です。スーパーにとっては、客数が増えるだけでなく、客単価が上がる(アップセル)、二度おいしいチャンスが到来するのです。デフレに苦しんできた小売業にとって、これは「実質的な購買力アップ」という追い風なのです。

じつはスーパー株は、消費税ゼロのニュースが出る以前から堅調でした。ブルーゾーンホールディングス(417A)は2025年10月の上場なので別として、イオン(8267)もライフコーポレーション(8194)も2025年から株価は上昇の角度を上げています。その理由は直近の決算から読み解くことができます。

王者イオン(8267):エコシステムと優待の圧倒的安心感

まずはイオンの直近の決算を確認します。2026年1月8日に発表した第3四半期決算は、営業収益7兆7,494億円(前年比+3.7%)、営業利益1,447億円(前年比+23.1%)と営業利益の伸びが大きく、利益率の改善がめざましいことが分かります。

好調の理由は、物価高で消費者の節約志向が強まる中、PB(プライベートブランド)「トップバリュ」の値下げ企画や増量キャンペーンが面白いように当たり、客数をガッチリと掴んだことにあります。また、小売事業だけでなく、映画が好調だったサービス事業やディベロッパー事業が利益を牽引している点にも注目です。まさに「イオン生活圏」という巨大なエコシステムが、減税という追い風を受ける前からエンジンとして機能しています。

消費税が0%になれば、消費者はより「価格」と「価値」のバランスに敏感になります。トップバリュは、自社で製造から販売まで手がけるため、PB商品を値下げする派手なキャンペーンを打つ体力は他社と比較しても圧倒的な強みになりそうです。

加えて、株主優待の「オーナーズカード」は、個人投資家をがっちり掴んで離さない魅力もあります。買い物額の3%~(保有株数による)が戻ってくる仕組みは、減税で買い物頻度が増えれば増えるほど、株主としてのメリットも膨らみます。

地方から都市部まで、くまなく店舗を持つため、減税の恩恵を最も広く、薄く、確実に回収できると見込まれ、消費税ゼロ恩恵銘柄としてはやはり一丁目一番地であるといえるでしょう。

ただし、PERが90倍以上である点は注意が必要です。個人投資家の保有比率が高いため、下値を支える力は強いものの、とはいえ割高さは無視できません。高値追いせず、押し目を狙うのが正解です。

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