はじめに
本稿を執筆している現在は2月1日です。1月が終わったばかりですが、2026年が始まって「まだ1ヶ月か!」という強い実感があります。それほどまでに、この1ヶ月の間にはマーケットを大きく揺さぶる出来事が立て続けに起こりました。
日経平均5万4000円突破の裏で
年明け早々の1月3日、日本はまだ三が日でしたが、お屠蘇気分を吹き飛ばすニュースが飛び込んできました。米軍によるベネズエラ急襲とマドゥロ大統領の拘束です。この電撃的な軍事行動は、原油価格の乱高下を招いただけでなく、トランプ政権が「米国の利益のためには手段を選ばない」という強烈なメッセージを世界に発信したことを意味します。
それから1週間も経たないうちにまた「サプライズ」がありました。1月9日、読売新聞が年明けの衆院解散に踏み切る可能性を報じると、市場は即座に反応しました。報道直後から日経平均先物は急伸し、夜間取引では上げ幅を一気に拡大しました。
14日の現物市場でも株価は大きく上昇し日経平均株価は5万4000円台をつけました。為替市場では円売りが優勢となり、ドル円相場は円安方向に振れました。債券市場でも長期金利が上昇する場面がみられました。解散・総選挙という政治日程がもたらす短期的な不透明感と、政権基盤の安定化や政策継続への思惑が同時に意識され、市場が一斉に織り込んだ結果といえます。
さらに1月の締めくくりには、米国の金融政策を巡る激震が走りました。トランプ大統領が次期FRB(米連邦準備制度理事会)議長に、ケビン・ウォーシュ元理事を指名したことです。この報を受け、これまで利下げを織り込んでいた市場は混乱しました。
特に顕著だったのが金(ゴールド)市場です。ドル高と金利上昇への警戒感から、最高値を更新し続けていた金価格は1オンス=5,000ドルの大台を割り込み、46年ぶりとも言われる歴史的な急落を記録しました。
2026年の震源地は「米国」
「ベネズエラ」「衆院解散」「FRB人事」。そしてそれらを受けたマーケットの急反応。 わずか31日の間にこれだけのイベントが凝縮されたことは、2026年が「激しいボラティリティが常態化」する年であることを物語っています。そして、その震源地は米国になることも示唆されています。特に11月の米中間選挙に向け、政治的な思惑が経済合理性を上回る局面は今後も増えるでしょう。
その意味で2026年のボラティリティの源泉を補足しましょう。今、深刻化しているのが、グリーンランドの領有権問題に象徴される欧米間の対立です。
トランプ政権は、中国の北極圏進出を阻止すると同時に、グリーンランドの豊富な重要鉱物(レアアース)と資源確保を「国家安全保障戦略(NSS)」の中核に据えています。米国による強引な介入姿勢に対し、欧州諸国やデンマークとの間に走る亀裂は、かつての強固な大西洋同盟の揺らぎを示唆しています。米国の国家安全保障戦略の中心は「米国の経済的利益の最大化」へと完全にシフトしています。関税、エネルギー供給、さらに言えば金融政策までが安全保障という名の下で「武器化」されています。