はじめに
画像:TradingViewより
まずはこのチャートを見てください。ほぼ垂直にそり上がっています。2026年のはじめは400円台だった株価が、2月10日は1,600円とほぼ4倍。このチャートがどの企業のものであれ、投資家であれば何があったか知りたくなる形です。
坂道を転げ落ちるように赤字幅が拡大も買われる理由
これは、人工ダイヤモンドの元となる種結晶を製造・販売しているEDP(7794)の株価チャートです。長く低迷していた株価が急激に噴き上がった理由は、業績の急回復ではありません。EDPは、26年3月期の通期予想を出しておりませんが、前期25年3月期は営業損失9.84億円と、24年3月期の損失2.13億円から減益幅を広げております。
当社の過去最高営業利益は23年3月の12.8億円。坂道を転げ落ちるように赤字幅が拡大しています。会社四季報の26年3月期予想は営業損失8.5億円と、黒字転換が起こりそうな気配はありません。2月12日には、第3四半期決算発表を予定していますが、6四半期連続の赤字からの回復はなさそうです。
そんな中での株価急騰には、国家レベルのプロジェクトが関わっています。
巨額の「対米投資」で白羽の矢が立った理由
きっかけは、日米関税交渉で合意された5500億ドル規模の対米投資プロジェクト。関税の引き下げと引き換えに、日本がアメリカの産業再建を全力でバックアップするという巨大な経済ディールです。その「第1号案件」として、同社の人工ダイヤモンド技術が浮上したのです。なぜ赤字の小企業が、国家間の巨大ディールの主役に躍り出たのか。それは当社が持つ独自技術にあります。
人工ダイヤモンドの作り方には大きく分けてふたつの方法があります。一つは、巨大プレス機で炭素を「潰す」従来型のHPHT法(高温高圧法)。もう一つが、EDPが世界に誇る「CVD法(化学気相成長法)」です。HPHT法は、いわば「力技」です。一方、EDPのCVD法は、炭素ガスを精密に制御しながら基板上に堆積させていきます。いわば「原子レベルの3Dプリンター」です。
これにより、半導体基板として不可欠な「薄くて広いダイヤの板」を作ることが可能になります。この「板状に作れる」という技術こそが、次世代半導体の覇権を狙う米国が、喉から手が出るほど欲しがったものなのです。