はじめに
上乗せ金利による支払総額の変化を意識する
がん団信に加入することで変化する支払額については、月々の支払額だけでなく返済総額の変化を確認することが重要です。
がんと診断された際に住宅ローンが全額消滅するがん団信の場合、上乗せ金利は金融機関によりますが、0.05%〜0.2%程度が主流です。例えば、みずほ銀行やSBI新生銀行の場合、2026年2月時点では0.1%の金利上乗せで加入することができます。
4,000万円、35年、元利均等返済という条件で住宅ローンを組むことを考えたとします。
仮にがん団信に加入しない場合が金利1.00%、がん団信に加入した場合が金利1.10%とすると、月々の返済額はがん団信未加入で112,914円、加入で114,788円(差額は1,874円)となります。これだけを見ると大きな差ではないように感じるかもしれません。しかし、35年間の支払い総額で見ると、未加入で約4,742万円、加入時は約4,821万円(差額約79万円)となり、無視できない金額になります。
がん団信への加入を検討する際は、ぜひ月々の支払額の差ではなく支払総額の差で考えてみてください。支払総額の差を踏まえてもがん団信に加入する合理性があると感じるのであれば、加入を検討してもいいでしょう。
がん団信は「不安対策」ではなく「人生設計の一部」
ここまで、「時間軸」「保障機能」「コスト構造」という3つの観点から、がん団信の合理性を整理してきました。大切なのは、がん団信を「将来が不安だから入るもの」として選ばないことです。
がん団信への加入可否は、「がんになる確率が高いか低いか」で決めるものではありません。自分の暮らしや家計の中で、がん団信に何を期待するのかをはっきりさせたうえで決めることが重要です。
判断の際には、次の点を整理してみてください。
1. リスクが高まる年齢帯に、どれくらいの住宅ローン残高が残っているか
2. 住宅ローンという「債務」を消すことに、人生設計上どれほどの価値があるか
3. 収入減少時に、生活再建資金としてすぐに現金が必要な構造になっていないか
4. 上乗せ金利による支払総額の増加を許容できる家計構造か
これらを踏まえたうえで、がん団信に加入した方がよいと判断できるのであれば、それは十分に合理的な選択といえます。
がん団信は「安心を買うためのもの」ではなく、自分の生活をどう守りたいかを考えた結果として選ぶ金融ツールの一つです。住宅ローンという人生の大きな決断の中で、がん団信も、感情ではなく納得感を持って選んでみてください。