はじめに

前回は、確定拠出年金(DC)で人気の投資信託(投信)をランキング形式で紹介しました。今回は、さらに一歩踏み込み、「分散投資のリアル」を見ていきます。3万6,000人の運用実態を分析すると、良かれと思って選んだ組み合わせが、実はリスクを高めているケースが見えてきました。

・ 投信の“本数”が増えても、中身が重なれば分散になりません。
・ とくに「同じ資産クラスのパッシブ+アクティブ」や「バランス型+個別投信」は、重複(=実質的な上乗せ)が起きやすい。
・ 分散の第一歩は「本数」より、役割と重なりの点検です。

前回記事:確定拠出年金(DC)で人気の投資信託は? データで判明した、リアルな運用実態


何種類の投信を選んでいる? 最多は「投信1種類だけ」

資産運用の鉄則は、値動きの異なる資産を組み合わせる「分散投資」です。では、実際の加入者は何種類の投信を選んでいるのでしょうか。

本稿でいう「種類」とは、国内株式や外国債券といった資産クラスに加え、パッシブ/アクティブという運用スタイルの違いも含みます。

    例)国内株式アクティブ+外国債券パッシブ=2種類とカウント
    例)国内株式アクティブを2本=1種類とカウント

また、元本確保型商品を併用しているかで行動が変わる可能性があるため、以下の2群に分けて見ました。

    元本確保あり(元本確保型+投信)
    元本確保なし(投信のみ)

調査の結果、元本確保あり/なしのいずれでも「1種類だけ」が最多でした。とくに元本確保なしでは、46.6%、つまり約半数が投信を1種類に絞って運用しています(図表1)。

図表1 加入者が選択している投資信託の種類数

(両グループとも「1種類」が最多。特に元本確保なしの46.6%に注目)

投信1種類では「バランス型」「国内株式」「外国株式」が上位

次に、投信の種類数ごとに、どのような資産クラスが選ばれているのかを見ていきましょう。

投信を1種類だけ選択している人の内訳を見ると、元本確保あり/なしのいずれもバランス型が目立ちます(図表2)。単体の資産クラスでは元本確保ありは国内株式が多い、元本確保なしは外国株式が多いという傾向でした。

図表2 投信を1種類だけ選択している人の投資先

(バランス型が多い。単体資産では「元本確保あり=国内株」「元本確保なし=外国株」)

バランス型を1本選ぶ人:それ1本で分散が成立しやすい
バランス型は、主要4資産(内外株式・債券)または6資産(+内外REIT)に投資する設計が多く、それ1本で分散が成立しやすい商品です。ただし、若年層がローリスク型を選ぶ/リタイア前なのにハイリスク型を選ぶなど、リスク許容度と商品特性が合っていない可能性には注意が必要です。

国内株式または外国株式を1本選ぶ人:分散不足の可能性も
国内株式または外国株式のみを選んでいる場合、特定の市場だけに投資している状態です。
「DC以外で分散している」「あえて高いリスクを取っている」といった明確な意図がない限り、分散不足の可能性があります。

投信2~3種類になると増える「内外株のセット」と“重複”

投信を2種類だけ選ぶ人の組み合わせで最も多いのは、国内株式パッシブ+外国株式パッシブでした。次いで、国内株式アクティブ+外国株式アクティブが続きます(図表3)。

図表3 投信を2種類選択している人の組み合わせ上位

(最多は「内外株のセット」。次点も“株式×株式”で、株式中心になりやすい)

ここで注意したいのは、国内株式・外国株式・バランス型など同一資産クラスの中でパッシブとアクティブの両方を選ぶ人が一定数見られる点です。

「複数の商品を選べば分散」と誤解されがちですが、同一資産クラスのパッシブとアクティブ、投資銘柄が重なることが少なくありません。つまり、分散投資のつもりが、実質的に上乗せ=集中投資になっている可能性があります

さらに、投信を3種類選ぶ人では、「バランス型+その他資産クラス」の組み合わせが目立ち始めます(図表4)。意図的に比率調整している場合はいいのですが、「分散のために増やしたつもり」が「似たものを足しているだけ」になっていないか、点検が必要です。

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