はじめに
わたしは、noteをプライベートなブログとして使っています。仕事の記録や旅の思い出など、積極的に収益化するつもりはなく、純粋に書く場所として活用しています。しかし最近、使い心地が明らかに変わってきた実感があります。
昔のブログサービスと明らかに違うと感じるのは、過去に書いた記事が突然「おすすめ」に引っかかって読まれるようになったこと。ときには、自分で書いたこともすっかり忘れているような過去記事に「いいね」がつくこともあり、それはなんともこそばゆい感じ。その頃の自分と今の自分では考えていることが違う場合もあるからです。ただ、過去の自分の記事が埋もれていくのではなく、時を経て誰かの機微に触れるのは思いのほかうれしく、「note」のおすすめ機能には好感を持っています。
また、最近、わたしの周りでもnoteを始める人が多く、「ブログといえばnote」という認識が、じわじわと広まっているように思います。そのnote(5243)が4月14日に、2026年11月期の第1四半期決算を発表しました。
数字は文句なし。しかし株価は大陰線
2026年11月期第1四半期の売上高は12.18億円(前年同期比+27.3%)、営業利益は2.35億円と前年同期比で約41倍という驚異的な伸びを記録しました。通期計画7億円に対する進捗率は、第1四半期ですでに33%に達しており、このペースが続けば通期の上方修正も十分視野に入ります。
ところが株価の動きは少々複雑でした。チャートを見ると、決算翌日の4月15日は3,405円の高値をつけて寄り付きましたが、その後は押し戻され、終値は2,521円と前日比-16%の大陰線で引けています。「これだけ好決算なのになぜ?」と思われるかもしれません。
まず需給面から見ると、決算発表前の4月10日のデータでは、信用買い残が1,508,600株あり、これは発行株数の7.8%に当たります。筆頭株主である加藤貞顕氏が33.6%保有していることを考えると、実際に市場で売買されている株数はもっと少ないでしょう。信用買いしている投資家が、決算翌日の株価が跳ね上がったところで、「待ってました!」と利益確定売りに走った可能性があります。
そしてもう一つは「噂で買って、事実で売る」という動きです。KADOKAWAとの資本業務提携発表(3月24日)など、好材料が事前に出尽くしていた面もあり、決算発表という「事実」を確認した投資家が売りに動いた形です。
ただ重要なのは、その後の値動きです。大陰線の翌日以降、株価は2,500〜2,600円台で下げ止まり、大きく崩れる様子は見られません。これは、業績への失望ではなく、過熱した期待の調整だったことを意味します。
noteが仕掛けるAI活用と業務提携
今回の好業績を支えているのは、主力の「note事業」と法人向けの「note pro事業」の成長です。note事業の四半期流通総額(GMV)は62億円(前年同期比+25.0%)と高成長を維持し、サブスク比率も27.9%まで上昇しています。
わたしが感じている「AIによる記事発掘」の実感は、数字にもしっかり表れています。レコメンドエンジンの全面刷新により、カテゴリページ内の記事表示回数は前年同月比4.8倍、カテゴリページ経由のPVは3.2倍に伸びました。noteの記事PVの4割超はnote内の回遊によるものというのも驚きです。GoogleやXといった外部プラットフォームに頼らず、note内で読者と記事がつながる仕組みを自分たちで強化できるのは、プラットフォームとしての本質的な競争力です。
事業提携の面でも話題が絶えません。2026年3月にはKADOKAWAと資本業務提携を締結し、IP開発・出版DX・AIデータ流通・ファンコミュニティ形成などの領域で協力していくことが発表されました。noteから生まれたコンテンツが書籍化・IP展開へとつながる仕組みを作ることで、クリエイターの収益化の出口を増やしながらプラットフォームとしての価値を高める戦略です。以前発表されたNAVERとの提携と合わせ、noteは着々とエコシステムの外堀を埋めています。