はじめに
川下の工事は“総取り”しにくい
では、川下にも目を向けてみましょう。
買い替えが増えれば、取り付け工事も増えます。実際、繁忙期には工事の予約が数週間待ちになるとも報じられています。ならば工事会社が儲かるはず――と考えたくなりますが、ここでも、もう一段の思考の深掘りが必要です。家庭用エアコンの取り付けを担っているのは、多くが量販店の下請けや地域の電気工事店といった、個人投資家が株を買うことのできない、未上場の中小企業がほとんどなのです。
一方、株式市場に上場している空調工事会社(高砂熱学工業やダイダンなど)は、ビルや工場、データセンター向けの大型工事が主戦場で、家庭のエアコン買い替えとは、実はあまり関係がありません。つまり工事の恩恵は、上場株ではつかみにくいのが実情です。
では、川下はあきらめるしかないのかというと、そうでもありません。エアコンの配管材や部材を扱う電材の卸・商社、あるいは量販店に工事機能まで組み込んで一体で提供する会社など、家庭用の設置に近いところで稼ぐ上場企業もあります。銘柄を探すときは、その会社の売上が家庭用に向いているのか、業務用・大型に向いているのかを確認するひと手間が大事です。
いちばん身近な家電量販店は、今からでも間に合う?
もっともエアコン特需でひらめきやすい家電量販店についても触れておきます。すでに家電の売上は伸びていますが、株価の観点では、今からでも遅くないかは冷静に考えたいところです。理由はふたつ。
ひとつは、量販店はもともと利益率が非常に薄い商売だということ。台数が増えても、1台あたりのもうけは小さく、特需のわりに利益の伸びは限られがちです。もうひとつは、特需の反動。駆け込みで前倒しに買われた分、規制後の2027年以降は反動で販売が落ち込むリスクがあります。株価は先を織り込むので、特需の“ピーク”が見えてきた頃には、むしろ材料出尽くしとなることも珍しくありません。
家電量販店は、テーマとしては王道ですが、飛びつく前に「もう相当な人が気づいている」「反動もある」という二点を、頭の片隅に置いておきたいところです。
特需との付き合い方
どのような形で恩恵を受けるかは、会社によってまるで違います。メーカーは本命だが織り込み済み。川上の素材・モーターは中身が増える妙味があるが、エアコン以外の要因も大きい。パワー半導体は連想先行で、実態は別物。川下は分散されすぎており個人投資家では買いづらい。それぞれの事情を理解した上で、特需そのものより、それが各社の利益にどれだけ効くのかを見極めることが大切です。そして忘れてはいけないのが、特需には賞味期限があること。駆け込みが一巡すれば、反動で需要が落ち込む可能性もあります。
特需は、うまく投資に取り込めば、効率よく利益を上げる大きなチャンスになります。上手に付き合えるようになれば、投資家として一段上のステージに上がれそうです。せっかくのこの機会、トライしてみてはいかがでしょう?
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