はじめに
「売上は去年より増えているんです。でも、なぜか不安で…」個人事業主の方からこのような相談を受けることがあります。お話を伺う中で、「今、自由に使えるお金はいくらありますか?」とお聞きすると、言葉に詰まってしまう方は少なくありません。売上は把握していても「使えるお金」は分からない。実は、こうしたケースは意外と多いのです。
「まだ半年ある」と思える今こそ、お金の流れを見直すベストタイミングです。年末になって慌てないために、この夏確認しておきたい5つのポイントをご紹介します。
①「売上」と「実際に使えるお金」を分けて把握する
まず確認したいのは、「今、自由に使えるお金はいくらあるか」です。冒頭で紹介した相談者さんも、「売上は増えているのに、なぜか不安」と感じていました。個人事業主の場合、売上はそのまま自由に使えるお金ではありません。売上から経費を支払い、生活費を確保し、さらに税金の準備も必要です。「売上を見ること」と「使えるお金を見ること」は、似ているようで別物です。つまり、売上が増えていても、「実際に使えるお金」が見えていなければ、不安になるのは自然なことなのです。
そこで一度、事業のお金を「経費」「税金」「生活費」「将来のために残すお金」に分けて考えてみてください。売上だけではなく、「今月、自由に使えるお金はいくらあるか」を確認する習慣をつけることで、不安の正体が見えやすくなります。
そして、「今月はここまで頑張れた」と、売上が伸びたことを安心して喜べるようになるでしょう。
②事業用口座から生活費を移す「ルール」を決める
ご相談の中で「事業用口座は作りました!」という方も少なくありません。しかし、お話を聞いていくと「生活費は必要な時にその都度移しています」というケースも見られます。実は、ここにお金が見えにくくなる原因が隠れていることがあります。
生活費を事業用口座から必要なときにその都度引き出していると、事業のお金がどれくらい残っているのか分かりにくくなります。おすすめなのは、「毎月○日に生活費として一定額を移す」といったルールを決めることです。
お金の流れが決まると、「今月は事業にどれだけ残せたのか」「生活費は予定通り確保できたのか」が確認しやすくなります。口座を分けることが目的ではありません。お金の流れを見える化することが大切なのです。
③レシートの定位置を決め、無理のない経理の仕組みを作る
「レシートは全部とってあります」そう話す方も少なくありません。でも、「どこにありますか?」と聞くと、財布、車、バッグ…いろんな場所から出てくるということもあります。大切なのは、捨てないことではなく、"迷子にしないこと"。私はまず、「レシートの定位置を決め、月ごとに分けるところまではしておきましょう」とお伝えしています。
そして、レシートをきちんと保管している人でも、入力が後回しになってしまうことはよくあります。年末にまとめて入力すると、内容を思い出すだけでもひと苦労です。『あとでまとめてやればいい』と先送りするのではなく、日頃から無理なく続けられる仕組みを持つことが大切です。例えば、週末や月末に記帳の日をつくる、銀行口座やクレジットカードを会計ソフトと連携するなど、自分に合う方法を決めておくと、負担はぐっと軽くなります。