はじめに

現在、日本国内で設定・運用されている投資信託の本数をご存じでしょうか。資産運用業協会の統計によると、総本数は2026年6月末時点で5836本です。この数字、時代の変遷とともにかなり増減します。その傾向と、本数増の問題点を考えます。


増減する運用ファンドの本数

遡れる範囲で最も古いデータは1989年1月で、この時の本数が3308本、全体の純資産総額は53兆9527億9300万円でした。その後も増加傾向をたどり、最初のピークをつけたのが1995年8月の6457本でした。

この時点では株価がバブル崩壊で急落していたため、本数自体は増えたものの、全体の純資産総額は47兆4251億9700万円に目減りしていました。この時期、とにかく目新しいファンドを新規設定して、少しでも運用資金を集めようとしたのでしょう。実際、当時は投資信託の購入手数料は2%前後あり、その手数料収入が証券会社にとって大きな収益源になっていたのです。ちなみに当時は、まだ銀行などが投資信託を販売することはできず、もっぱら証券会社の専売商品でした。

ところが、その後、総本数は減少傾向をたどり、2004年7月には2525本になりました。これは当時、1人のファンドマネジャーが管理しなければならないファンドの本数が増え過ぎたという理由から、業界を挙げて運用本数を減らす動きが広まったためです。

以来、日本国内で設定・運用されている投資信託は増加傾向をたどっていきました。資産運用会社の数が大きく増えたことや、毎月分配型ファンドが一世を風靡して、どの資産運用会社も似たスキームのファンドを相次いで設定したこと、また近年においては、S&P500やMSCI-ACWIのような海外インデックスへの連動を目指すパッシブ型ファンドが増えたことなどを背景に、ファンドの本数はひたすら増加し、2018年1月には6163本まで増えました。これが総本数では直近のピークです。

ファンドの併合は進まず

ファンドの運用本数が増えると、必ず持ち上がるのが1人のファンドマネジャーが十分に管理できる本数は何本なのか、という問題意識です。そして、その度にファンドの本数を減らすための議論が行われますが、なかなか本数を減らすのは難しいようです。実際、2007年に行われた法改正によって、ファンドの併合が可能になりましたが、20年近くが経過したにもかかわらず、実際に行われたケースはごく少数にとどまっています。

理由はいろいろあり、最も大きな障壁とされているのが受益者に対する課税の扱いです。ファンドを併合する際、税法上「保有ファンドを一度売却し、別のファンドを買い直した」とみなされると、その時点で含み益に対して所得税・住民税が課税されてしまう恐れがあるのです。

また販売金融機関にとっては、ファンドの併合にあたってシステムの改修が必要になりますし、資産運用会社にとっては事務手続きコストを負担しなければなりません。確かにファンドの本数を減らすことによって、ファンドマネジャー1人あたりの管理負担を軽減できるとはいえ、それ以外の問題点が大きく、なかなか併合が進まないという現実的な問題があるのです。

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