はじめに
投資を始めようと思っても、口座開設や運用商品選びのプロセスに難しさを感じる方は少なくありません。特に外国人の方や障害をお持ちの方の場合、「きっと私にはムリなのでは」と諦めてしまう方も多いようです。今回はそんな「難しさ」を抱えた方たちが上手に投資を始めるために必要なことをお伝えします。
「私にはムリ」と思い込んでいませんか?
「私は外国人ですが、NISAは利用できますか?」
「障害があるのですが、投資は難しいでしょうか」
ファイナンシャルプランナーとして相談を受けていると、このような質問をいただくことがあります。
筆者は英語で相談に対応していることもあり、日本で暮らす外国人の方から資産形成について相談を受ける機会が少なくありません。また、社会福祉士の資格を保有していることもあり、障害のある方と関わる機会も多く、「自分にもNISAは利用できるのでしょうか」とご相談をいただくこともあります。他にも「投資に無知なので」とへりくだって、投資を始めたいという気持ちにふたをしてしまう方もいらっしゃいます。
その背景には、「投資は自己責任」という強い言葉が一人歩きしており、「完璧に投資を理解し、責任がとれる状態でないと投資はできない」と高いハードルを設定し、「自分には無理だ」と思い込んでしまっている方が多いのではないかと想像しています。
結論から申し上げると、資産形成は、一部の人だけのものではありませんから、日本語に自信がない、障害がある、知識不足といった理由だけで、将来に向けた資産形成をあきらめる必要は一切ありません。
新NISAは誰もが利用可能。年齢と居住地の条件をおさらい
例えば、税制優遇制度で人気のNISAは日本人だけの制度ではありません。障害があるからできないという制度でもありません。NISAを利用するために必要な条件は、その年の1月1日時点で18歳以上で、日本国内に住所を有する居住者であることです。
年齢は18歳以上ですから、社会人としての経験や金融の専門的な知識を求められることもありません。投資を始めるにあたり、ごく基本的なことを理解し、その後自分なりに学びを深めていただければ良いのです。
日本国内に住所を有する居住者ですから、日本で働く外国人や、日本に生活基盤を持つ外国籍の方も利用が可能です。もちろん障害を理由に利用ができないということはありません。
例えば、外国人の方からは、「日本語が話せないと口座は作れませんか」という質問もよく受けます。繰り返しにはなりますが法律上、日本語能力はNISAの利用要件ではありません。
ただし、金融機関は契約内容や投資リスクについて説明し、本人が理解したうえで契約を結ぶことを求められています。そのため、日本語での意思疎通が難しい場合には、英語などに対応できる金融機関を選んだり、通訳できる方の支援を受けたり、英語で相談できるファイナンシャルプランナーなどに相談したりしながら進めることが現実的です。
海外赴任や帰国時は要注意。見落としがちなNISA口座のルール
実際、筆者が外国人の方のNISA利用のお手伝いをしている際に特に意識して確認する事項があります。それが「日本を離れる場合」の注意点です。
これは日本人であっても同じですが、NISAは日本に住んでいる人を対象とした税制優遇制度なので、日本に住んでいないと原則利用ができない仕組みなのです。
例えば、会社の命令により海外赴任をするというケースで見てみましょう。この場合、届出を行うことで、一定期間(最長5年)保有しているNISA資産について非課税の適用を継続できます。ただし、この期間中に新たな買付けはできません。
あるいは、外国人の方が母国に帰国する場合や日本人が海外へ移住する場合などは、原則としてNISA口座は終了し、保有資産は課税口座へ移されます。またその後の保有口座の取扱いについては金融機関ごとのルールを確認する必要があります。
このような、出国の理由によってNISAの取扱いが変わることはあまり知られておらず、特に外国人の場合、日本人以上に該当する可能性があると考えられるため、注意を促しています。
NISAは長期の資産形成を支える仕組みなので、その時々に必要なメンテナンスをご自身で行っていただく必要があります。そのため、できればご自身で各種手続きができるようになるのが理想です。