はじめに
半導体株が総崩れになった7月半ば、逆行高で目立っていたのがサイゼリヤ(7581)でした。7月16日にストップ高(前日比+17.3%の6,780円)をつけたあと連日で買われ、7月28日には上場来高値の7,830円をつけています。5月頭の安値4,955円からは、わずか2カ月あまりで株価が5割以上も上昇した計算です。
きっかけは、7月15日に発表した決算と値上げ検討の表明でした。前回サンリオやオリエンタルランドの反発を取り上げましたが、今回はその同じ資金の流れの中で急浮上した、外食セクターの主役を掘り下げます。
決算は「最高益」、そして5円の増配
実は4月8日に2026年8月期第2四半期決算を発表するタイミングで通期の利益予想を下方修正しました。一方、売上高は上方修正したことから、低価格メニューが消費者に支持されてはいるものの、コスト高が逆風と捉えられ株価は低迷していました。原材料高と店舗賃料の上昇というはさみ打ちで、これ以上のコスト吸収は難しいのではという懸念が根強かったのです。その空気が、第3四半期決算発表を境にガラリと変わりました。
2026年8月期第3四半期の決算は、売上高2,213億円(前年同期比17.5%増)、営業利益133億円(同25.6%増)と、四半期ベースで最高益を更新しました。国内既存店は客数・客単価ともに増加基調が続き、日本セグメントの営業利益は前年から2.2倍に拡大しています。あわせて期末配当を5円増額し35円とする増配も発表しました。決算内容自体が市場予想を上回ったことに加え、この増配がサプライズとして好感された形です。
「値上げしない」からの転換が最大の材料
もっとも株価を動かした最大の材料は、業績そのものより松谷秀治社長が決算会見で示した価格改定の検討です。「消費者物価指数(CPI)の動向を見ながらアフォーダブルプライスの範囲内での価格改定も視野に入れる」と発言し、実施されれば2020年以来の価格改定となります。想定される価格帯は現行の300〜600円から320〜640円へ。20〜40円程度の値上げ幅です。
サイゼリヤはこれまで、原価率の悪化を、セルフオーダー導入などの店舗運営効率化で吸収し、販管費比率を59%から49%まで切り下げることで低価格を守ってきました。ただしコスト削減余地はほぼやり切った状態にあり、店舗賃料の上昇という新たな逆風も重なっています。効率化の限界が意識されるタイミングでの値上げ表明だったからこそ、市場は、ようやく利益成長のもう一段のドライバーが加わったと受け止めたといえそうです。
利益率が改善しつつある中での値上げなので、相当の増益効果があるのではないかと期待されます。