はじめに

セイコーは高級路線が引き続き奏功

セイコーグループも第1四半期から好調が続いています。売上高990億円(同28.5%増)、営業利益154億円(同88.8%増)と大幅増益となり、通期予想を上方修正、配当も増額予定です。グランドセイコーを中心としたプレミアムモデルへの集中投資という方針は12月の記事から変わっていませんが、株価は12月の高値7,680円からさらに上昇し、9月1日時点では12,000円近くで推移しています。

なぜスマートウォッチ時代にアナログ腕時計が見直されるのか

それにしても時計メーカーの株価の強さは目を惹きます。2025年1月から比べるとセイコーは約2.3倍、シチズン時計は約3倍、出遅れているカシオでも約2倍。わたし自身は、最近になって、旅行でのタッチ決済の便利さを優先しApple Watchに時計を替えたばかりで、今から普通の時計に戻ることはイメージしづらいほど利用しています。

しかし腕時計市場全体を見ると、実はスマートウォッチの勢いにはやや陰りが見えています。調査会社CCS Insightによると、2026年のウェアラブル市場全体は前年比3%減、なかでもスマートウォッチは「買い替え疲れ」を理由に出荷台数は4%減となる見通しです。じつは、若者を中心にスマートウォッチ離れが進み、シンプルなアナログ回帰が広がっています。

クロス・マーケティングの2026年調査でも興味深いデータが出ています。腕時計を持つ人のうち普段使うタイプはアナログが59.5%と依然主流で、スマートウォッチは17.9%にとどまります。年代別では20代の26.4%、30代の22.1%がスマートウォッチをメインに使う一方、50〜60代は6〜7割がアナログをメインにしており、世代間の差がはっきり出ています。ただ、いちばん利用者が多い若年層に絞ってみても、スマートウォッチが完全に主流というわけではありません。毎年の充電や数年での買い替えが前提のガジェットに対し、資産として持ち続けられる、長く使えるモノへの回帰が静かに起きているとみられます。

それにしても、スマホで十分代用できるこの時代に、必需品ではない時計メーカーが好調なのはとてもおもしろい現象だと思います。9月からかなりの食品が値上げし、物価高でますます節約志向が高まりそうな中、第2四半期以降も、時計メーカーの勢いが続くかどうか見極めたいところです。

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