はじめに
保険会社から届くお知らせや街中の保険ショップを見て、「保険の見直しをしなきゃ」と思ったことはありませんか?
「少しでも良い保険に入ろう!」「保険料が安いのはどれだろう」と調べることは、一見すると、保険のお得な選択に思えます。でもその考え方、知らないうちに『保険の加入が大前提』の考え方になっていませんか?
もしかしたら、あなたには『そもそも保険は必要ない』という結論が最適かもしれないのです。
あなたが納める「社会保険料」はいくら?
会社員は、厚生年金・健康保険(40歳以上は介護保険も含む)・雇用保険の保険料を、個人事業主なら国民年金・国民健康保険(40歳以上は介護保険も含む)を社会保険料として納めています。
では、あなたが昨年1年間に納めた社会保険料は、いくらですか?
実は、保険会社や共済の保険料等は思い出せても、毎月納めている社会保険料を答えられる人はとても少ないのが現状なのです。
まず、会社員の方は昨年の源泉徴収票をご用意ください。源泉徴収票の年収欄は、必ずチェックしますよね。その2段下に「社会保険料等の金額」欄があります。これが、あなたが昨年1年間に、給料天引きで納めた社会保険料の総額です。ざっくり計算すると、年収の約15%です(上限あり)。
個人事業主等の場合は、社会保険料(国民年金保険料)控除証明書や国民健康(介護)保険料の納付書等の合計額が、昨年1年間の社会保険料です。
たとえば、年収400万円の会社員なら、1年間で約60万円の社会保険料を納めます。ボーナス分も含めて月額換算すると5万円にもなります。決して少なくない金額の社会保険料ですから、「よくわからないし、天引きされるから仕方ない」と思うのではなく、「社会保険料を活かした保険の見直し」に、気持ちを切り替えましょう。
「もしも亡くなったら」保険の断捨離術
「もしも亡くなったら」という時に備える保障が、死亡保険です。でも、私たちが毎月納める社会保険には、すでに、死亡に備える保障が付いています。それが国民年金や厚生年金の「遺族年金」です。
たとえば、会社員の夫が、専業主婦の妻と0歳の子どもを1人残して亡くなったとしましょう。その場合、1年間にいくらの遺族年金が受け取れると思いますか?
この場合なら、1年間で約140万円年金を受け取ることができます(妻と子1人の遺族基礎年金100万円、遺族厚生年金は約40万円と仮定)。
つまり、会社員の夫が亡くなって、妻と子ども1人が残された場合、国から月額換算で11.6万円を受け取れるのです。個人事業主には厚生年金がありませんが、それでも、国から遺族基礎年金として約100万円を受け取ることができますから、月額換算8.3万円を受け取ることができます。
もちろん、これだけで生活の全てを賄うことは難しいでしょう。でも、もしも妻に月額15万円の給料があれば、どうでしょうか? 夫が会社員だった場合なら、遺族年金と妻の収入を合わせて26.6万円、個人事業主だった場合でも23.3万円の収入が確保できるのです。
このように、もしもの時に遺族年金があれば、十分な収入が確保できる家庭も少なくありません。あなたは、自分にもしものことが起こったときの遺族年金を知ったうえで、民間の保険を選択しましたか?
遺族年金を受け取るためには、亡くなった人や受け取る遺族が一定の要件を満たす必要があります。また、遺族年金の種類や金額は、家族構成や残された家族の年齢、厚生年金保険料を納めた期間やその金額によって異なります。そのため、「自分の場合の遺族年金」ということを抜きにして、死亡保険は語れないのです。
(もっと詳しく自分の場合を知りたい人は、手前味噌で恐縮ですが、もしものときに受け取る遺族年金の種類や金額がチャートでわかる、拙著『本気で家計を変えたいあなたへ ~書き込むお金のワークブック~<第2版>』(日本経済新聞出版社)をご参考にしてください。)