はじめに
値上がりが続く住宅の修繕費・維持コストを軽視しない
もう一つ盲点になりやすいのが、住宅の維持管理費用です。家は時間の経過とともに劣化していくため、住宅に住み続けるためには、適切な修繕やメンテナンスが必要です。
固定資産税・都市計画税
マンションの管理費
マンションの修繕積立金/戸建ての修繕費
火災保険料・地震保険料
特に住宅にかかる修繕費用は、資材の高騰や人手不足といった事情を反映し、ここ数年で大幅に上昇しています。総務省データを再集計しているOpenGovによると、消費者物価指数は6年前と比較して約12%増加しているのに対し、住宅の設備修繕・維持の物価指数はその倍、約25%増加しています。また、株式会社さくら事務所の2026年版の試算によると、一般的な木造戸建住宅の築後30年間の修繕費は総額約1,193万円。5年前の試算約876万円から、約1.4倍となっています。
マンションの場合であれば、すべての修繕費をお一人で負う必要はありませんが、修繕積立金を支払い続ける家計の準備は必要でしょう。修繕積立金額は定期的に見直され、特に「段階増額積立方式」を採用しているマンションでは、将来の値上げを前提としています。将来の増額をふまえた支出管理や資産形成が大切です。
いずれにしても、お一人で住むこととなっても、家の修繕費は半分になるわけではありません。万が一の時には、修繕費用の支払いを一人で負う可能性があることをふまえた、住宅修繕費用の支払いも組み込んだお金の準備が大切です。
パートナー亡き後の住宅持分に関する相続対策を怠らない
最後に、万が一の時には、ご自身で住宅の持分を相続できるような準備も大切です。相続が発生した場合、配偶者は当然に法定相続人となりますが、子どもがいない場合は、親や兄弟が相続人となる可能性があるためです。つまり、住宅の持分も相続財産ですから、他の相続人と分けるところからスタートする構造となっているということです。
もしパートナーの家族との関係が悪い場合、相続が難航して、相続財産が思ったよりも減ってしまったり、住宅の持分の相続が難しくなったりする可能性もあります。もし自分以外が相続して、勝手に持分を第三者に売られてしまった場合、買い戻すための大きな費用が発生し、住み続けるのが難しくなる恐れもあります。
「うちは大丈夫だろう」と思いがちですが、将来、パートナーなきあとの住宅の持分をご自身の財産として活用するための準備は、事前にしかできません。遺言書の準備や、ご家族との付き合いがカギとなるでしょう。
夫婦でお金についてもっと話そう
筆者のこれまでの経験をふまえると、共稼ぎの場合、万が一のときに生活が急変する、という場合はめったにありませんが、想定を超える負担によって、生活設計に見直しが必要になる場合は少なくありません。
お金について夫婦で話すのは簡単ではないかもしれませんが、話し合うことができれば、将来の見通しはもっとよくなるはずです。返済が始まってからでも遅くはありません。もし一人になったら、住宅ローンはどうなるのか。その中で生活費はどう変わって、資産形成にはどのような影響を与えるのか。老後の生活はどんな影響をうけるのか。遺族年金の改正をきっかけに、わが家のお金について、夫婦で話す機会を設けてみてはいかがでしょうか。