はじめに
始める前に知っておきたい注意点
こどもNISAを利用する前に、特に確認しておきたいのが払い出しの制限です。教育費を準備する目的でも、必要なときに自由に引き出せるとは限りません。
「12歳から引き出せる」には条件がある
こどもNISAでは、一定の年齢に達するまで、原則として資金などの払い出しが制限されます。それより前に非課税で払い出せるのは、災害や疾病など、制度で定められたやむを得ない事由に該当する場合です。この場合は税務署長の確認などが必要となり、口座を廃止して全額を払い出す扱いになります。
子どもの教育費や生活費に充てるための払い出しが可能になるのは、「その年の3月31日時点で12歳以上となる年」の1月1日以降です。一般的には、中学校へ入学する年の1月からに当たります。「12歳の誕生日を迎えれば自由に引き出せる」という意味ではありません。
この時期以降も、用途は子ども本人の教育費や生活費などに限られます。子どもが払い出しに同意したことを示す書面とともに、親権者等が金融機関へ必要書類を提出する手続きも必要です。家族の資金不足を補うために、親の判断だけで自由に使える口座ではない点を理解しておきましょう。
定められた要件を満たさずに払い出した場合は、口座が廃止され、それまで非課税だった利益や払い出し時点の含み益などに課税されます。非課税のメリットを保つには、使う目的と時期を考えて資金を入れることが大切です。
投資信託を売却しても、すぐに出金できるわけではない
払い出し制限は、投資信託の売却代金や分配金にも及びます。口座内で投資信託を売却して現金にしても、そのお金を自由に銀行口座へ移せるわけではありません。「売却」と「口座外への出金」は、別の手続きとして考える必要があります。
そのため、近いうちに使う教育費や、家計の急な支出に備えるお金まで、こどもNISAへ回すのは避けたいところです。払い出し制限のある資金とは別に、必要なときに使える預貯金を確保しておきましょう。
非課税でも、教育費の不足を防げるとは限らない
もう一つ忘れてはいけないのが、元本割れのリスクです。こどもNISAは運用益が非課税になる制度であり、投資したお金が必ず増える制度ではありません。進学費用が必要な時期に相場が下落すると、予定していた金額を確保できない可能性があります。
教育費は、入学金や授業料など、支払う時期を動かしにくい支出です。必要額のすべてを投資で準備しようとせず、預貯金と組み合わせることが大切です。使う時期が近づいたら、必要な金額を段階的に現金化するなど、運用を終えるタイミングも考えておきましょう。
こうした払い出し制限と運用リスクを踏まえると、教育費の準備にこどもNISAを優先すべきかは家庭によって異なります。次に、親のNISAとの使い分けを考えてみましょう。
親のNISAが余っていても「こどもNISA」を使うべき?
親のNISA枠に十分な余裕があり、目的が教育費の準備であれば、こどもNISAを優先する必要はありません。必要なタイミングで柔軟に取り崩したい家庭では、親のNISAを活用することも選択肢になります。
成人向けNISAには、こどもNISAのような年齢や使途による払い出し制限がありません。教育費として積み立てていたお金を、家計の状況に応じて別の支出に充てることもできます。一方、こどもNISAは子ども本人の財産として管理され、払い出しには一定の条件があります。
親の枠に余裕があるなら、まず家計全体で考える
成人向けNISAの年間投資枠は、つみたて投資枠が120万円、成長投資枠が240万円で、合計360万円です。非課税保有限度額は1人につき1,800万円となっています。
たとえば、親のつみたて投資枠で老後資金として月3万円、教育費として月2万円を積み立てる場合、合計は月5万円、年間60万円です。他に同じ枠での買付がなく、非課税保有限度額にも余裕があれば、親のつみたて投資枠の範囲内で両方を準備できます。
ただし、親の口座にまとめる場合は、教育費と老後資金を混同しない工夫が必要です。「何年後に、何のために、いくら使うか」を記録し、教育費を取り崩した後も老後資金の準備が続けられるかを確認しましょう。
また、今年の年間投資枠が余っていることだけで判断せず、今後の積立額や、すでに利用している非課税保有限度額も踏まえて考えることが大切です。
子ども名義で資産を育てたいなら、こどもNISAも選択肢に
親のNISA枠に余裕があっても、子ども本人の資産として長く育てたい場合は、こどもNISAを利用する意味があります。親の資産と分けて管理でき、親子で運用状況を見ながら、お金や投資について話すきっかけにもなります。
親のNISA枠を老後資金などで使い切る見込みがあり、さらに子どもの将来資金を積み立てる余力がある家庭でも、こどもNISAが選択肢になります。
一方、金融教育は親のNISAの運用を一緒に見ることでも始められます。金融教育をしたいからといって、必ず子ども名義の口座を開く必要はありません。
大切なのは、新しい制度やキャンペーンに合わせて投資額を増やすことではなく、家計に合った準備方法を選ぶことです。教育費を使う時期、老後資金の準備、手元に残す預貯金を整理したうえで、親のNISAとこどもNISAの使い分けを考えましょう。
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