はじめに
平日の利用時間は平均82分
日本で初めてiPhoneが発売された2008年から、今年で10年目を迎えます。この間、スマホは急速に普及しました。総務省の「平成29年度版 情報通信白書」によると、2011年には14.6%にとどまっていたスマホの個人保有率は、2016年には56.8%と5年間で大幅に上昇しています(下図)。
スマホの保有率が上昇するのに伴って、さまざまなサービスが増えているためか、1日当たりの平均利用時間も長くなってきました。
スマホ利用者の平日1日当たりのネット利用時間の平均は82分(上図)。中でも、20代では129分、10代では143分にも上り、若い世代がスマホを長時間利用していることが顕著に表れる結果になりました。
スマホ封印の儀式?
授業や部活で忙しく、自分のために使える時間が限られている学生が、電車の中でスマホに夢中になっている姿を見かけ、「学生が自分の意思でスマホの利用を一時的に控えるような手軽なツールがあれば」という思いから開発に至ったのが「スマホ封印太郎」(税込み880円)です。
スマホを包んだら「封」印のシールを貼って封印。タブレットの大きさに対応したサイズも展開しています。
ご祝儀袋のような封筒に入れてスマホを封印する、この商品。ただ包むだけではありません。メモ用紙に宣言と開封日・署名を記入することで、「自らの気持ちを整理できるツールになるように工夫しました」と、開発元の「もぐら製作所モーレワークス」の平林知紘代表は話します。
包み紙も神聖さを感じられるように、紙の種類やカラーリング、デザインを吟味し、上質感のあるものを目指したといいます。「スマホ自体を包むという儀式的な動作を入れることで、より自分の意思に強く働きかけるような商品設計にしました」(平林さん)。学習塾で先生から塾生へのプレゼントに採用されるケースもあるそうです。
スマホ封印太郎はクラウドファンディングで資金を募り、2015年11月に発売。19人の支援者から、目標金額の30万円を超える資金が集まりました。
発売以降、累計で3,000個以上を売り上げ、「現在もじわじわと売り上げは伸びています」(平林さん)。学生だけでなく多忙なビジネスパーソンからも需要があり、購入者からは「スマホがなくても特に支障はなかった」という声が届いているそうです。
視界に入ると、つい手が伸びてしまうスマホ。誘惑に勝てないのは依存しているからかもしれません。ときには封印して、使い方を見直してみるのはいかがでしょうか。
(文:編集部 土屋舞)