はじめに

太字の¥はないのに、太字の$はある

さてお金関連の文字と言えば、¥や$などの通貨記号も欠かせない存在です。このような記号は、もともと文字コードの中に存在していたものも多いので、改めて絵文字でこれを表現するニーズは大きくありません。とはいうものの、通貨記号を絵柄の中に盛り込んだ絵文字もいくつか存在します。

すでにお気づきかも知れませんが、ここまでに登場した絵文字の柄にも、通貨記号が登場していました。例えば紙幣を表す絵文字(?・?・?・?)にはそれぞれの通貨記号(¥・$・€・£)が小さく書き込まれていますし、ドル袋($)には$マークが入っています。また羽の生えたお札(?)も、多くの実装で$マークが描かれています。

そして面白いことに、絵文字の中には太字の$(?)も存在します。これはKDDIの携帯電話に存在した絵文字の名残だと思われます。

ちなみにUnicodeの絵文字には、このほかにもプラス(➕)、マイナス(➖)、掛ける(✖️)、割る(➗)、チェックマーク(✔️)、丸(⭕)、感嘆符(❗)といった太字記号のシリーズが存在するのですが、いずれもKDDI出身と思われる絵文字です。

太字の$があるなら、太字の¥や、太字の€(ユーロ)があっても良さそうな感じもしますが、今のところそのような絵文字は存在しないようです。

韓国メーカーの独自路線

もうひとつ、通貨記号関連では為替・両替(?)という絵文字も存在します。この絵文字は、多くの環境で¥マークと$マークにふたつの矢印(→)が繋がった形にデザインされています。この実装の多くに、€(ユーロ)でも£(ポンド)でもなく¥マークが描かれている点が「絵文字文化の出自を象徴している」とも言えます。

ただし韓国のメーカーだけは¥マークの存在感を小さく扱っており、例えばサムスンの場合は「$とW(ウォン)」の併記(つまり¥は登場しない)、LGは「¥と$のほか€(ユーロ)と£(ポンド)」を併記するデザインを採用しています。この辺りに、日韓両国の微妙な関係性も見え隠れします。

さてSNSなどの書き込みでは、為替・両替(?)の絵文字は単純にお金の言い換えとして登場します。しかしながら一部、FX(外国為替証拠金取引)などの話題でも登場することもあるようです。むしろ後者の方が本来的な使い方なのでしょう。

実はこのほかにも、こっそりと通貨記号(しかも¥)が登場する絵文字が存在するのですが、その紹介は次回にとっておきましょう。

ということで前編はここまで。次回の後編でも、引き続きお金関係の絵文字を紹介するほか、今年新たに加わる予定になっている「新しい絵文字」の話題も紹介します。どうぞお楽しみに。

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