はじめに
仕入れや内製化の工夫で原価低減
サラダバーのメニューは年5回、見直しをかけています。「肉に季節性はないので、サラダでシーズンらしさを出しています」(古田取締役)。定期的なメニューの見直しで、常連客の来店頻度を高める狙いです。
メニューが見直されるたびに試作試食会を実施
現在提供中のメニューでは、食物繊維が豊富なロマネスコや紅芯大根といった珍しい野菜を使ったサラダも用意しています。こうした変わった食材をそろえようと思うと、原価も相応にかかりそうなもの。そこは、仕入れの工夫でカバーしています。
たとえば、流通でだぶついている食材を安く仕入れたり、不格好で流通には乗らなかったけれど味はおいしい食材を仕入れたり……。期間限定ながらヒット商品となった雪下人参ドレッシングも、こうした工夫から生まれたものでした。
食材を無駄なく利用するのは、肉のカットでも同様です。塊肉で仕入れたものを、自社工場で無駄を最大限省いた形で切り分けています。その結果、不要な部分は2%程度にまで抑えられるといいます。
自社工場では、ドレッシングやステーキソースも内製しています。毎日出荷するので、防腐剤は入れる必要がありません。その結果、雑味のない味に仕上がるそうです。
このような、ファミレスという業態の制約内でおいしさを最大限追求した調理方法と、仕入れや内製化による原価低減とのコンビネーションが、集客と採算改善につながり、ひいては13年連続で12%超という高い利益率が実現できているのです。
多店舗路線が仇となり赤字に
とはいえ、ここまでの道のりは決して順風満帆だったわけではありません。
1990年代後半には多店舗化に向かって経営の舵を切り、低価格路線に進んだことがありました。この時、コストのかかるステーキの炭焼きやサラダバーを廃止しました。客単価はそれまでの1,700円から970円まで半減。味は落ち、価格だけで集客している状況でした。
そこに起きたのが、2001年のBSE(牛海綿状脳症)問題です。客足は一気に遠のき、この年の純損益は5.4億円の赤字に転落。借入金も38億円まで膨れ上がりました。
このままでは倒産してしまう――。瀬戸際まで追い込まれたことをきっかけに、自分たちの得意なことに注力した経営に切り替えるべく、炭焼き、かまどご飯、サラダバーを3本柱に据え、今のスタイルにたどり着きました。