はじめに

読者のみなさんからいただいた家計や保険、ローンなど、お金の悩みにプロのファイナンシャルプランナーが答えるFPの家計相談シリーズ。今回はプロのFPとして活躍する花輪陽子氏がお答えします。

現在、社会人5年目です。現状の運用方法についてアドバイスをください。当方は年収600万円ほど(額面)、毎月の平均手取り額22万円(確定拠出年金1万円、財形貯蓄5万円、持株0.5万円、家賃2万円を除く)です。付き合いが多く、毎月の支出は14~15万円程度です。上記以外に、運用しているのは以下になります。

・ロボアドバイザー:3万円の積立
(運用リスク最大に設定。米国株、日本株中心のポートフォリオ)
・自動積立定期:2.5万円
・積立NISA(日本株ファンド):1万円
・純金積立:1万円

総資産は以下になります。
・財形貯蓄:200万円
・米ドル建終身保険:年払いで約20万円×10年払い中(5万ドル、受取人は母)
・医療保険:毎月0.5万円(掛け捨て、60歳まで払込み、以降は終身)
・ロボアドバイザー:30万円
・その他投資信託:10万円ほど
・定期預金:10万円ほど

負債では奨学金の返済が170万円ほど残っており、0.6%の利子付きです。毎月約1.5万円返済しています。

今後の計画としては、現在お付き合いしている彼女と2年後をめどに結婚を考えており、子供を2人くらい授かることができたら理想的だと考えています。転勤族のため、持家については40代後半で検討したいと思っています。社会人3年目までは貯蓄がまったくできなく、4年目以降にようやく貯蓄ができるようになってきたため、まだ資産面は少ない状況です。このような将来設計を考える上で、現状やるべきこと、運用方法などについてアドバイスをいただきたいと思っております。

〈相談者プロフィール〉
・男性、26歳、未婚
・職業:会社員
・居住形態:賃貸
・住んでいる地域:福岡県
・手取りの世帯月収:30万円
・毎月の支出目安:15万円


花輪: ご相談ありがとうございます。

資産運用より奨学金完済を優先させる

現在、0.6%の利子付の奨学金の返済が170万円ほど残っているということですが、独身時代は毎月約1.5万円の返済もそれほど大変ではないかもしれませんが、結婚をして子供ができると状況が変わります。

たとえば、子供の私立の幼稚園代は月3万円程度ですが、自分の奨学金の返済と合わせると月4.5万円程度の支払いとなると家計がきつくなるからです。余裕のある独身時代や夫婦共働きの間に繰上げ返済をして奨学金を完済できると良いですね。

奨学金の金利は0.6%と低く、繰上げ返済による利息削減効果は数万円ですが、現在は低金利なので預金や個人向け国債など安全資産で運用してもそれだけの利回りを狙うのは難しいです。

また、株式投資などの資産運用の利益は不確実ですが、借金返済による利息の削減は無リスクで行うことができるので真っ先に考えるべきです。借金を繰り延べていると、その分毎月の家計に余裕ができるので無駄遣いもしがちです。

結婚や住宅購入に向けていくら備える?

今後予定されるライフイベントに結婚式や住宅購入(購入の場合)などが挙げられるでしょう。

ゼクシィの結婚トレンド調査2017によると、平均的な挙式、披露宴・披露パーティ総額は354.8万円です。結婚を機とした新生活準備費用の平均は56.3万円です。お祝儀やお祝いなどは見込めますがカップルで150万円ずつなど貯めることができると良いでしょう。

また、住宅を購入するなら頭金や諸費用などの自己資金が必要になってきます。新婚早々に住宅購入を考える必要はありませんが、徐々に準備を始めると良いでしょう。自己資金は頭金として物件価格の2割、諸費用として1割見込んでおくと安心です。物件価格が3,000万円なら900万円程度ですね。

長期投資をするなら手数料にも着目をして

現在、資産運用の大部分をロボアドバイザーにしていますが、デメリットとしては自分で運用をする時と比べると手数料が高いということがあります。

1%前後の手数料は長期投資をする上で見逃せないので、投資の知識がついてきたら一部を自分で運用しても良いかもしれません。

運用リスクを最大に設定しているということですが、財形貯蓄や定期預金の割合も高く、資産の一部なので、自身で自覚があってリスクを取っている分には問題はないでしょう。20代など若い時期は、投資による損失を今後の労働で取り戻すことも容易にできます。そのために、高齢者に比べて株式投資の割合を高めることもできます。

反対に退職金などはリスクを取らずに、預金や個人向け国債など守りの資産にすることが大切です。なぜなら損をした場合、今後の労働で取り戻すことが困難だからです。

保険に関しては、これ以上保険料を上げる必要はありません。今後、子供ができたら安価な掛け捨ての死亡保障に加入をして、期間限定で遺族保障を買うという考え方にすれば良いです。

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