3月といえば、多くの会社で昇進や異動が発表されて、サラリーマンにとってはドキドキする人も少なくない時期です。自分がやりたい仕事への異動希望がかない、ハッピーな気分のうらやましい方もいるでしょう。

異動といえば、転勤となるケースもあります。皆さんの同僚や家の近所にも、転勤で離れていく方もいらっしゃるかもしれません。そして、転勤といえば引っ越しです。

ところで、連想ゲームのように「3月→異動→転勤、そして引っ越し」と進みましたが、実は、この引っ越しが株価と意外に深い関係があることを見つけたので、紹介します。


イメージと異なる“引っ越しの実態”

引っ越しは景気や株価と関係があるとお話しすると、「そんなの当たり前だろう」と思う読者もいるでしょう。

皆さんの中には、新しく家を建てたり、マンションを購入した経験をお持ちの方もいますよね。景気が良く所得が高くなれば、良いところに住み替えする人も増えます。ですので、引っ越しが増えている時は景気が良く株価も高くなるのは当然、と思うでしょう。

実は、私も初めはそのように仮説を立てていました。しかし、実際にデータで確認すると、予想外の結果が見えてきます。

総務省ではウェブサイトを通じて住民基本台帳の人口移動を報告しています。これは住民票を移した人をカウントしたものです。引っ越してもすぐに住民票を移していない人は含まれませんが、基本的な転居した人の情報をつかむことができます。

移動人数と株価に連動性はない?

まずは、長期の動きを見るため、毎年の移動人数の推移をグラフ化しました。

2017年は489万人が転居しましたが、過去からの推移をグラフで見ると、一貫して低下しています。景気との関係を見るため、GDP(国内総生産)もグラフ化します。こちらは2008年のリーマンショックの時に落ち込んだものの、足元にかけて緩やかに回復しており、移動者数と連動するような関係はまったく見られません。

このように引っ越しが減っていることには、さまざまな理由が言われています。まずは、高齢化という構造的な要因です。高齢になるにつれて、住み慣れたところから離れたくないという方が増えて転居が減るようです。

また、会社員に関しても事情があるようです。交通の利便性が高まってきたことで、たとえば会社の支店や営業所のそれぞれで、担当できる地域のカバーが広くなりました。このため、営業所を集約することで業務のコストを減らす傾向が見られます。営業所が減れば、それだけ転勤が減り、引っ越しも減るわけです。