はじめに

重点商品に客が流れるレイアウト

とはいえ、ただ闇雲にラインナップを拡充させるだけではありません。「一番大事なのは、(コンビニ業界の)同質化競争から抜け出すための新たな店舗フォーマットの確立」だと、藤本社長は言います。

先行して3月に改装した店舗では、入り口から入ってすぐの場所にフローズンデリカ(冷凍食品)の売り場を設置したほか、入り口から正面に見える場所にインストアのデリカ(ファストフード)を置くレイアウトにしました。

「われわれが強化していきたい商品に、自然とお客様が流れていくレイアウト」(藤本社長)にしたことで、改装前に比べて日販は2~3割増加したそうです。こうした事例を元に今年度上期中には新たな店舗形態を固め、下期から新店の標準モデルとし、来年度にかけて本格的な改装を進めていく考えです。

今年度は40店+αの出店を計画していますが、このうち下期の出店は10店程度。これが新フォーマットの店舗となるほか、改装では30店程度を予定しています。その結果を踏まえて、来年度からは100店単位での大規模な改装に移行していく構えです。

「2期連続で赤字にはしない」

その一方で、今年度については閉店を先行させます。出店40+αに対して、閉店は120を予定。収益性の低い直営店を優先的に閉めていく方針です。

「ここ3年間は、新店を出すことが営業利益を棄損し、減損による負担が拡大するという繰り返しでした」。藤本社長はこう振り返ります。

ただし、売り上げの見込める立地では新店を出していくことも強調します。「われわれはファストフードの加工を前提としたスタッフを多数抱えています。ここに、新たなチャレンジであるフローズンデリカを融合させ、新しいミニストップを2018年度中に確定していきたい」(同)。

ほかにも、サラダ売り場を従来の4段から5段に拡充。量り売り総菜のホームデリ併設店舗も順次拡大していく計画です。また、親会社であるイオンとの協業を進め、今年度下期中をメドに、物流の一部統合や統一商談などを実施し、原価低減を図る考えです。


総菜販売店舗は2017年2月末の62店から1年で89店まで増加

これらの施策を進めることで、今年度は100万円の最終黒字を計画しています。「2期連続で赤字にしないという意思ととらえていただければ」と、藤本社長は数字に込めた思いを明かします。

就任1年目の挫折をバネにして、V字回復を果たせるのか。予算コントロールだけではない、同質化競争から抜け出すための基礎作りが試される1年となりそうです。

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