はじめに
7月下旬からの任天堂「ポケモンGO」フィーバーが一段落し、入れ替わるようにふつふつ沸き上がり出した銘柄があります。スーパー銭湯を経営する「極楽湯(2340)」です。
店舗数で業界トップとはいえ、正直、あまり注目されるような業種ではありません。それが7月末には500円台だった株価は、9月7日には1,440円を付け、1か月足らずで約3倍も急騰しました。
この温泉でも掘り当てたかのような急騰ぶり、極楽湯にいったい何が起きたのでしょうか? ザ・フライ井村のLet'sカブトク!
一つ目のきっかけは7月29日の決算発表
7月29日に第1四半期決算が発表され、売上は5%増に留まるものの、営業利益は約2倍に増加と好調でした。特に中国事業の数字が良く、まだ2店舗しかないのにセグメント利益では日本の4倍も稼ぎ出していました。 ※極楽湯、第1四半期決算短信よりただ、改めてこの決算を見てみると、率直にいうと大したことないなと思ってしまいました。というのも、温泉ですから季節性があり、中国事業の収益はこの第1四半期が最も期待できる時期だと言うのです。それに、この期間には出店に伴う費用が発生しなかったことも利益が出ている一因と説明されています。
翌営業日の8月1日、普段より少し出来高が増えたものの、株価はわずかに数%上昇したくらいで市場の話題にもあがりませんでした。株主優待狙いの投資家がちょこっといるくらいで、このあとやってくる大化け相場にほとんど誰も気づいていないようでした。かくいう僕も、この銘柄を見てすらいませんでした。
二つ目のきっかけは8月1日付の産経新聞記事
この記事は、この後の極楽相場の牽引役としてたびたび引用されていました。それほど投資家にとって夢のある内容だったと言えます。内容を要約しますと、- 上海2店舗で入館者が年間100万人を超えた
- 入館料は大人約2,200円と日本の3倍以上にもかかわらず、入館まで3時間待ちという人気ぶり
- 9月にも3店目を出店し、10年以内に100店舗にする強気の方針
ただ、中国展開を加速できれば、かなりの収益が見込めるのは間違いありません。しかも、9月に3店舗目というんだからもう時間がない!早く買わなきゃとこうなるわけです。
ですが、この記事が出た一発目の市場の反応は、ほぼ無視に近いものでした。その後、ことあるごとに中国100店舗と連呼されるんですが、不思議なものですね。