はじめに
読者のみなさんからいただいた家計や保険、ローンなど、お金の悩みにプロのファイナンシャルプランナーが答えるFPの家計相談シリーズ。今回は花輪陽子氏がお答えします。
34歳、貯金は60万円です。結婚1年目ですが、身近な将来も老後も不安です。夫は会社員で、手取り19~25万円。姑は介護施設に入所しています(本人の国民年金で賄う)。今後、妊娠・出産したら、個人事業主である私の収入がなくなり(仕事がリラクゼーションのため、妊娠中はできません)、夫の収入のみになります。結婚式や引っ越しなどでこれまでの貯金を使い果たし、もうほとんど蓄えがありません。
現在、月およそ10万円ずつ貯蓄しています。子供ができた場合の教育費や、老後も不安なので、個人年金(60歳より10年間、年54万円支給)と、11年目からならいつでも解約しやすいドル建ての死亡保障200万円(10年払い、11年目より元本割れのリスク少ない。最低利率3%。月払い7,000円前後)に加入していますが、収入がなくなった時に夫の給料の範囲内で払っていけるか不安です。
医療保険、死亡保障など、夫婦で月2万6,000円支払っています。車のローンは6年間あり、月1万9,000円。住む家も今後、賃貸か新築または中古を購入するかなどで悩んでいます。アドバイスよろしくお願いします。
〈相談者プロフィール〉
・女性、30代、既婚(夫:会社員)、子供なし
・職業:自営業
・居住形態:親戚の持ち家に仮住まい
・手取りの世帯月収:35万円
・毎月の支出目安:25万円
花輪: 収入や支出のバランスに対して保険料が高いです。今後収入が減ってしまった場合は、よりバランスが崩れそうです。
余裕資金の大半を保険にするのはNG!
老後が不安だからといって、余裕資金の大半を保険にするのはNGです。なぜなら、保険はある程度の期間、お金を引き出すことが難しいから(早期解約をすると元本が割れる可能性が大きいから)です。
「教育費・住宅ローン・老後資金…迫る“三重苦”の乗り越え方」でもお伝えしましたが、保険契約は後からでも変更可能です。
現在、支出が25万円ですが、仮に夫のみの収入になった場合は赤字になりそうです。まずは、その他の支出の見直しが必要ですが、保険料の支払いが難しくなった場合は契約の変更を考えてみるのも1つです。
現在の貯金は60万円ですが、「すぐに使えるお金」として少なくとも生活費の3ヶ月分は欲しいので、最低限75万円は銀行の普通預金などに置いておきましょう。
現在のお財布事情だと住宅購入は慎重に
住宅購入を検討しているということですが、現在の貯金状況からだと、しばらくは賃貸をおすすめします。住宅ローンを組んでしまうと、賃貸のように毎月の支払い金額を変更することは難しいからです。
自己資金として物件価格の2〜3程度貯められてから考えてみたらよいのではないでしょうか。
たとえば、物件価格が2,000万円なら、自己資金として400〜600万円程度です。住宅ローンの頭金に2割程度あると、金利などの優遇を受けることができる場合もあります。そのほか、住宅を購入するに当たって諸経費が1割前後かかるからです。
地方の中古住宅の場合、1,000万円以内で購入できる物件も中にはあります。ですが、リフォームなどが必要になる場合もあるので、追加コストも加味して新築とどちらがよいかを考えてみましょう。
出産後、早期仕事復帰の計画を立てる
出産後、すぐに仕事復帰ができれば収入も安定します。自治体によっては保育園に入れるのが難しいかもしれませんが、役場に相談をしてみると有益なアドバイスをもらうことができるかもしれません。
幼稚園を利用する場合は、子供の生まれた生年月日にもよりますが、妊娠中から換算すると4年程度ブランクが生じてしまいます。たとえば、自治体の一時預かりなどを利用して、出産後も週に1回でも働くなどをした方が仕事復帰はスムーズかもしれません。
義理のお母様が施設に入られているということですが、自分の両親や義理のお父様が健康ならば出産後は祖父母にも協力をしてもらうのも1つです。
収入が厳しくなった場合、その期間は同居をするというのもアリでしょう。助けてくれる人がいるというのも無形資産になるので、困った時には是非とも活用したいですね。
私が住んでいるシンガポールには、中華系の人や中国から母子留学で来ている人が多いのですが、祖父母も呼び寄せて子供の世話をさせている人が多いです。その代わりに、祖父母の老後の世話もするという助け合いの精神で成り立っています。
都市部だと核家族が進み、親戚づきあいが希薄になっていますが、地方にお住まいなので親族や友達にも助けてもらいながら仕事を継続させるというのも1つだと思います。