はじめに

さまざまな工事現場でMC/MG(マシンコントロール/マシンガイダンス)システムを搭載した建設機械を使った情報化(自動化)施工が普及し始めて、約10年が経過しました。

ICT(情報技術)の導入は、建設現場にどんな変化をもたらしているのでしょうか。そして、こうした流れの恩恵を受けやすい個別銘柄は、どんな企業なのでしょうか。


年々進歩する「i-Construction」

国土交通省は、情報化施工にCIM(Construction Information Modeling)という3次元モデルの概念を加えた建設業の生産性改善の取り組みに対して、2015年末に「i-Construction」という名を付けました。その後、2016年度をi-Constructionの元年、2017年度は前進の年、2018年度が深化の年と、着実にステージを上げています。

第1弾のトップランナー施策に選ばれた「ICT土工」は、2016年に584現場で実施されました。584件の施工データによると、i-Constructionの導入により従来施工に比べて30%近い生産性の向上が確認されました。これは満足できる結果だったといえます。

2018年度からはトップランナー施策に「ICT舗装」が加わるなど、今後もICT活用工種の拡大が進む見通しです。また国土交通省は、地方自治体などが発注する工事についてもICTの活用が進むよう、CIM導入に関するガイドラインを整備しました。

建設投資の反転を機に人手不足による施工能力の限界が意識されるようになった建設業界において、ICT技術が業界構造を変貌させるトリガーになる可能性が高まってきました。

施工プロセスはどう変わった?

建設業の生産性向上に関するi-Constructionの要素は、3次元レーザースキャナーやドローン、MC/MGシステムなどのICT機器と、これらを制御するソフトウエアです。測量→設計→施工→管理・納品という従来施工では分断されていた工事の各プロセスが、i-ConstructionにおいてはWeb上のソフトウエアを通じて一気通貫することになります。

たとえば、測量→設計→施工→管理・納品の各プロセスにおいて、従来施工では測量図→設計図→発注図→施工図→竣工図→成果図と、1つの対象物に対して、関わる業者ごとに異なる図面が作成されていました。

これがi-Constructionでは、ドローンの空撮画像をもとにした3次元点群データを基点として、3次元モデル上で各プロセスのデータが加えられ、プロジェクトの進行を管理・支援することになります。

注目銘柄はどこか

情報化施工がi-Constructionとなって3年目を迎えました。全国測量設計業協会連合会の会員企業におけるドローンの保有率は、2015年から2016年の1年間で、29%から45%へと急速に高まりました。高所工事が多い橋梁の架設現場などで、ドローンの有用性に対する評価が高く、今のところ10%程度とみられる利用率はさらに高まるとみられます。

MC/MGシステム搭載のICT建機の普及率も、現状では油圧ショベルの約3%に過ぎませんが、近年大手建機メーカーの油圧ショベルの販売台数の10%をICT建機が占めており、早晩、建機全体に占めるICT建機の普及率も10%台に達する見通しです。

補助金や減税などの普及促進策も設けられ、建設ICT関連機器やソフトウエアは建設業界における新たな成長分野と位置づけられます。MC/MGシステム大手のトプコン(証券コード7732)、3次元CADソフトの開発で先行する福井コンピュータホールディングス(9790)、ICT機器レンタル事業を開始するシーティーエス(4345)に注目しています。

i-Constructionの普及は、労働者の動員力を背景とした従来のゼネコン、サブコンによるピラミッド型の業界構造を変貌させるとみます。生産性の改善の労働力の重要度が低下すると、受注力が優勝劣敗を決めることになるでしょう。

公共事業では入札要件として工事のレベルに応じた施工管理責任者を確保する必要があります。施工管理責任者の育成面において、安藤ハザマ(1712)、ライト工業(1926)の優位性が高まると予想します。

(文:いちよし経済研究所 企業調査部 溝口陽子)

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